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照の部屋に遊びに行ったらもぬけの殻だった。めめに聞いたら、体育館で翔子ちゃんとアクロバットの練習をしているという。


休みだというのにご苦労なこった。 一緒に街へ繰り出してまたナンパにでも付き合わせようと思っていたのに。


それにしても、翔子ちゃんが来てからというもの、俺に頼ってた照やめめがすこーしずつ変わって来て面白くない。


仕方なく一人で出掛けるかと思っていたら、携帯が鳴った。ちょっと前まで付き合っていた元カノからだった。

暗めの子で、束縛感強めだったから適当な理由を付けて早々に別れた。別れた後でも学園のそばで待ち伏せされたりして正直困っている。阿部ちゃん先生にも見られたし。



💜「もしもし……」






近くのバーガーショップで、彼女と待ち合わせた。田中とか言ったっけ、名字もうろ覚えだが、とりあえず笑顔で誤魔化した。



💜「お待たせ〜」


「深澤くん……」



うーわ。今日も暗いなあ。せっかく可愛いのになあと残念に思う。


今どき珍しい清楚なタイプの女の子で、告白が思い詰めた感じの長文の紙のラブレターだった。まず、LINEじゃないんだ、と俺は驚いた。 共通の知り合いに紹介されて、デートするようになり、夜中に電話で進路相談を何度か聞いていたら、いつのまにか俺のことを好きになってしまったらしい。ラブレターの中身も気持ちいいくらいに俺のことを褒めてくれていて嬉しかったし、見た目も可愛いから、いいか、としばらく軽い気持ちで付き合った。


黒い髪の前髪の隙間から覗く、大きなつぶらな瞳。色白の肌。たぶん、男は俺しか知らないんだろうと思う。

初めての夜は、嬉しいと言って泣かれた。別れ話をした時もこの世の終わりのような泣き方をされた。やっぱり真面目すぎる子は俺には合わない。 目の前で対峙した今日も泣かれるんだろうか、と思うと気が重い。



💜「今日は、何の用かなぁ?」


「あのね…私、どうしても深澤くんのことが忘れられないの」


💜「うん。それはこの間も話したよね?」


「深澤くん、今、付き合ってる子いないんでしょう?」


💜「えーと、それは」


「私、頑張るから。もう重たいこと言ったり、泣いたりしないし……」


そう言いながら、もう唇が震え始めてるじゃないか。それにこのやりとりも重いよ…。


「私には、深澤くんしかいないの」


テーブルの上の彼女の手が細かく震えていた。この子じゃなければ優しく手を重ねてあげるけど、なんて断ろうかで今の俺の頭の中はいっぱいだ。


💜「俺、今、彼女いるからさ」


咄嗟に口から出まかせが出てしまった。

彼女が息を呑んだのがわかった。青ざめた顔で俺を見る。俺は目を逸らした。


「なんでそんな嘘つくの?」


💜「いや、嘘じゃないし」


もう、こうなったら彼女に頼むしかない。


💜「最近うちに入って来た転校生と付き合ってるんだよね。だから…ごめん」


「…………」


💜「こうやって会ってるのもヤキモチ妬かれちゃうからさ、俺、もう帰るわ」


そう言うと、俺は席を立った。

彼女は、俺の腕を掴んで、燃えるような目で言った。


「それなら、会わせてよ。会わせてくれるまで、私信じないから」

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あらら…ふっかさん😂💜

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