テラーノベル
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放課後の図書室。
美羽は、日記の相手を思い浮かべながら机に向かっていた。
窓の外から差し込む光が、ノートのページを優しく照らす。
そこへ、
無口な 橘 蓮 が、
落ち着いた雰囲気の女子、 白石 奏 と一緒に入ってきた。
2人は楽しそうに本を選び、近くの席に座る。
美羽の心臓は、なぜか跳ねる。
( あの人が日記の相手だったら….? )
奏と蓮が近くで笑い合うのを見て、美羽は無意識にため息をつく。
日記の相手は、
_「 恋人はいない 」
と書いていたのに、なぜか心がざわつく。
その日の夜、ノートに書き込む手が少し震えた。
_『 最近、あなたのことを考えてしまう。
もしかして、日記の相手って…. 』
翌日。返事が来る。
_「 気づかないふりをしてくれていい。
でも、俺はちゃんと見てる。 」
美羽は胸の奥がじんわり熱くなるのを感じた。
現実の蓮と奏、そしてページの向こうの誰か。
誰が本当の相手なのか、全くわからない。
( もしかしたら陽向でも蓮でもないかも )
混乱する心を抱えながら、美羽は次のページに書き込む。
_『 あなたに会ってみたい。でも、会ったら
正体がわかっちゃうんだよね、、 』
文字の向こうの誰かは、まだ姿を見せない。
けれど、美羽の心はすでにその存在に囚われ始めていた。
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