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最近、美羽は落ち着かなかった。
陽向がさりげなく話しかけてくれるたびにドキッとして、
蓮がふとした瞬間に見せる優しさに胸がざわつく。
けれどノートに返ってくる言葉はどこか遠くて、手を伸ばせばするりと逃げてしまう。
_「 君は、今誰を見てる? 」
ある日、そんな問いかけが書かれていた。
ページをめくった瞬間、美羽の心臓は強く締め付けられた。
( 私が迷ってるの、気づかれてる、、? )
急いでペンを取る。
_『 ちゃんとあなたを見てるよ 』
そう書いたけれど、自分の中で小さな迷いが消えなかった。
次の日。
返事はなかった。ページは空白のまま。
不安になった美羽は、教室でノートを探したが、机には無かった。
( もしかして、終わっちゃった? )
その日の帰り道、陽向が声をかけてきた。
〔 なあ、美羽、ちょっと話があるんだけど 〕
夕焼けに染まる顔がやけに真剣で、美羽の胸は大きく波打つ。
同じころ、蓮は校門の前で奏と別れ、静かに美羽の方をみていた。
ページの向こうの名無しの誰かは、沈黙したまま。
現実の2人の存在感が急に強くなり、美羽の心は揺さぶられていった。