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「ピピピピッピピピピッ・・・」目覚ましの音が鳴り響く。「うーん・・・ふぁ〜・・・もう朝なの・・・?」ゆっくり時計を見てみると、時刻は朝9時・・・9時!?「あわわ・・・学校遅刻確定だよぉ!どうしy・・・ん?」カレンダーを見てみる。よくよく考えたら、アラームが9時になるのはおかしいもん。平日は6時半に起きることになってるんだし。・・・「は〜びっくりした。今日はお休みの日だ〜。ちょっとお散歩にでも行こっかなぁ。」そんな独り言を言いながらリビングに向かう。ホント、ボクってあわてんぼうだなぁ〜。
リビングには、パパもママもいなかった。そういえば今日はお出かけに行ってるんだっけ。机をみると、フレンチトーストが置いてあった。ゆっくり食べる。1人の時のボクの唯一の話し相手は、クマのぬいぐるみ。「ねぇねぇクマちゃん、聞いてよー・・・」そしてクマちゃんに世間話をしながら、のんびり朝ごはんを食べ終えた。
お外を見てみると、真冬にも関わらず、すっごく良く晴れている。「クマちゃん、今日は一緒にお散歩行こっか〜。」そんな声がリビング内に寂しく響いた。
あー、自己紹介がまだだったねー?ボクはレイ。ムギちゃんって子と一緒にいる事が多いんだぁ。ボクは可愛い物が大好きなんだけど・・・パパもママも「もっと男らしい事をしろよ。」って言うから、あまり満足に可愛い物を集められないんだ・・・。ムギちゃん以外の友達も皆ボクを変わり者って言うし。そんな中で唯一ボクが持っているのは、クマのぬいぐるみだけ。だからとっても大切にしてる。
さて、朝食を食べ終わったら、お気に入りの手提げバックにお茶、お菓子、そしてクマちゃんを入れて、お散歩に出かけた。
初めて行く場所ってさ、やっぱりいいよね〜。冒険してるみたいでさ〜。見たことの無い景色。「この先には何があるんだろ?」って考えながらのんびり歩く・・・これが楽しいんだよね〜。
疲れたって思った時には、既に歩き始めた時から1時間くらい経っていた。時間って経つの早いよね〜。
ふと、周りを見渡すと、公園を見つけた。シーソーに滑り台、ジャングルジム、そしてブランコがある、少し小さな公園。ボクはなんとなく、ブランコに乗る。ゆっくりブランコをこぎ始めた。クマちゃんを抱きながら。そして、ボーッとしていると、とある女の子がこちらへ元気に走ってきた。「ねーねー、おにーさん!」と元気に話しかけてきたから、「なーに?」と返した。「そのぬいぐるみ、おにーさんのなの?」と聞かれ、「そーだよー。可愛いでしょ〜。」と言う。正直、この後返される言葉なんて想像するのは難しくなかった。「男のくせにぬいぐるみとか好きなの?」とか聞かれるんだろうなぁ・・・、そう思った時、女の子は「かわいいねー!」と答えた。嫌な事を言われると思ってたから、ちょっとびっくりしちゃった。「おにーさん、かわいいもの、すきなの?」と、女の子が質問してきたから、「うん。なんて言うか、癒されるんだよね〜。」と答えた。すると、「わかる〜。」と返ってきた。ボク達はその後たくさん話した。
気がつくと、もう辺りは暗くなり始める頃だった。「ごめん、そろそろボク帰らなきゃ。またねー!」と言って、公園から出ようとすると、女の子が「ねぇ、おにーさん。」と、声をかけてきた。「なーに?」と聞くと、「こんど、また わたしと おはなし してくれる?」と聞いてきたので、「うん!」と答えた。すると、女の子はポケットの中から、「それじゃあ、これ、あげるね!はじめて おとこのひとと かわいいものについて おはなしできたから、その おれい!」そう言って女の子はボクに何かを渡してきた。ヘアピンだった。紫色の、蝶々結びのリボンが付いている。「かわいいでしょ。おにーさんにあげるね!じゃあ、またねー!」そう言って女の子は走り去っていった。
素敵な出会いだと思った。ボクの事を理解してくれる人なんて、ムギちゃん以外誰もいなかった。そんな現実に、少しだけ光が射した気がした。「また会えるかな。」そう思いながら、お家に帰った。
でも、幸せはそんなに長く続かない。
家に着くと、パパとママがいた。2人とも、リボンを見るなり、「なんだ、またそんなもん持ってきたのか。男のくせに。」と言ってきた。ボクは悲しかった。女の子として生まれて来れば、こんな事にならなかったのかな。そう思いながら、リボンをポケットに突っ込んだ。
その日の夜、ボクはなんとなくお外に出てみた。星がいっぱい見える。別に流れ星が見えたわけじゃないけど、星空に向かって願い事を言う。「ボクが女の子になれますように。」