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プルルルルル
「もしもし……え?」
ガシャン!
俺は手に持っていた皿を落とした。
「え、先生が…」
【うん。残念だけど、死んだの】
嘘だ。
え、だって…昨日一緒にご飯食べたよな?
そう。俺は昨日、先生に野球選手の夢諦めようかどうか悩んでいることを話すためご飯を食べに行った。
高校卒業してるけど、まだ先生とは会っていた。
「え、なんで」
【交通事故。相手が信号無視をして。】
先生は歩きだったから、轢かれたのか…
酷い。でも、でもなんで
「なんで俺に電話を…それになんで八木さんが…」
【先生が、どーしても、どーしても御子柴だけに伝えてくれって。私が知ってるのは、事故現場にいたから。びっくりだよ。それで救急隊員の人が知り合いいますか!?って。だから、それで…】
もうこれ以上聞きたくなかった。
ていうか、何も聞き取れなかった。
【先生は、最後まで笑顔だったよ】
この言葉だけ聞き取れた。
なんか、先生らし
先生の笑顔…
そういや沢山、先生の笑顔に救われたな。
いつでもどんな時でも。
先生は笑顔を見せてくれた。
その笑顔が、とても安心するんだ
前にも似たようなこと言った気がするけど。
先生が笑うと、なんか本当になんでもできちゃう気がするんだよな。
初めて先生とあった時もそうだった。
「みんなともう一度、野球やりたかったなぁ」
「俺が応援する!みんなと一緒に、笑って卒業しよう」
予選大会、目黒川とたたかうかもって時も
「黙るなよ…(苦笑い)道を切りひらくのは自信と勇気だ!」
それに…
「何やってんだお前らー!元気がないぞー!たったの3点差だ!まだあと1回ある!」
先生の笑顔には「力」があると思う。
どんな人にも元気を与える力。
社会に出た俺も未だにその笑顔に救われる。
「そうだったんだ。先生らしいね」
【うん】
少し間が空いた。
【あ、それと御子柴くん。先生から伝言が】
「ん?」
【“夢にときめけ明日にきらめけ!お前なら今を乗り越えられる。頑張れ!” だって】
きっと目の前で先生が言っていたなら笑顔だったんだろうな…
「明日…先生が運ばれた病院に行くよ」
ブチッ
「うっうぅ…」
涙がとまらない。
先生。
もっと、先生の笑顔、見たかったよ。
でも…
でももう引きずらない。
きっと先生が怒る。
「今を生きろ」
とか言って。
俺は諦めかけていた夢をもう一度、チャレンジすることにした。
2年後
「俺、ちゃんと野球選手になったよ」
先生の墓の前で。
「俺も。先生に伝えたいことが」
ちょっと恥ずかしくて照れるけどちゃんと伝えたいんだ。
“先生の笑顔が俺たちに自信と勇気をくれたんだ。ありがとう”
俺はそれだけを伝えて先生のお墓から遠ざかった。
そんなはずないのに、一瞬お墓の前で先生が微笑んでいたような気がした。
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設定
「」御子柴徹
(元ニコガク野球部)
【】八木塔子ちゃん
(元ニコガク野球部マネ)
大の恩師、川藤先生が御子柴に悩みがあると言われ、一緒にご飯に食べに行った。別れて普通に横断歩道を歩いていたら信号無視した車に轢かれてしまった。
御子柴は塔子ちゃんの話をききながらも昔を振り返っていた。
そして2年後、先生に面と向かってお礼を言いたかった御子柴はお墓に行き、短くお礼を伝える。
見てくれてありがとうございます!