「よかったポーランド、生きていたのね……!」
ライヒタングルから出てきたのはリトアニアだった。どうやらある程度のダメージを与えると、併合された国を救出することができるらしい。ポーランドは彼女の元に駆け寄り、少し考えてから提案した。
「えっと、僕だけじゃ十分にみんなの役に立つことはできないと思うんだ、だからまた一つになろう」
彼らは手を取り合って、二人一緒に呪文と思われる言葉を呟く。
_二人の思い、今一つに。
その瞬間周囲は強い光に包まれ、タイミングを見計らって俺が目を開けた時には、すでにポーランド=リトアニアの姿があった。右目がぎらぎらと光っていて、翼もより大きいものになっている。
「油断してる暇はないよ、作戦再開!」
彼はそう言って空高くまで飛び上がった。投石の準備をしているようだった。
「第二列、一斉攻撃」
フィンランドの冷たい声が響く。フランスとルクセンブルクがライヒタングルの槍斧を華麗に跳ね除けてそれぞれの武器を刺し、イタリアは錨を豪快に振り回して体勢を崩していった。俺もチェーンソーを起動させ加勢した。
その後は2つの国を救出できた。オーストリアとスロベニア。二人に確認したところ今は休ませて欲しいとのことだったので、彼らはスイスの元に行くことになった。だがその発言の意図は後々知ることになる。
「はあっ、はあっ……」
ソ連の様子がおかしい。体格も体力も、戦闘能力さえも十分なはずのソ連が異常に息切れしている。
「に、兄さん? 休んだ方がいいんじゃ」
ベラルーシが心配そうに言う。だがソ連は首を振り、ライヒタングルに鎌を振り翳した。だがどことなく動きが鈍っており、攻撃を見逃しそうになることも多々あった。
「ソ連、お前は休んでろ。酒の入ってないオランダに代わりをさせるから」
フィンランドが半強制的にソ連を戦線から追い出した。ベラルーシがまだ落ち着かない様子で彼のことを見ていた。俺もこのことに関しては何か引っ掛かるものがある。だがソ連ならそう簡単にくたばらないだろう。俺は気にせず戦闘を続けた。
ある程度ライヒタングルの動きが落ち着いてきた頃、スイスからフィンランドのトランシーバーに連絡が入った。
「……おいおい、マジかよ。全軍撤収、基地に戻れ」
フィンランドが冷静さを演じつつも動揺を隠せない声で言う。全員不安に駆られた表情のまま、スイスの家へライヒタングルを振り切りながら帰った。
「に、兄さん!!」
ベッドに横たわり、力無く息をしているソ連を見てベラルーシが泣き叫んだ。スイスによれば、ソ連を復活させた影響であるそうだ。急に体が成長し、しかも戦闘行為という体に負担をかけるような行動ばかりしていたため、無理が祟ってこうなった、とのこと。
ソ連は力を振り絞ってなんとか笑いかけ、無事を演じてみせた。でももう助からないことなんてわかりきったことだ。
「兄さん、こんなことになるのなら早く言ってくれたらよかったのに……」
「すまないベラルーシ、心配、かけたく、なくてな」
もう彼は喋ることすらままならない状態だ。全員が覚悟を決めた表情になり、押し黙る。
結局ダメだった。撤収してから数十分経った時から徐々に構成国が姿を現し始めた。でもロシアはまだ眠ったまま。一向に目覚める気配はなかった。ベラルーシは想像に難くないだろうが泣き止まず戦闘どころではない。ひとまず作戦の練り直しも兼ねて、休憩することにした。
その日の夜、スイスの家に誰かが来た。スイスが慎重にドアを開けると、やってきたのはハンガリーとバルカン諸国だった。それに気がついたのかオーストリアとスロベニアが家の奥から走ってきて、言う。
「みんな、力を貸してくれてありがとう!」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!