深呼吸をして気持ちを少し落ち着かせる。
取り敢えず、まずは廃村の中を探索してみるか。
私を孕ませた呪霊は下腹部を触っただけで、私自身には危害を加えていなかった。
だから今回の呪霊も私に攻撃しないかもしれない。
例え攻撃してきても、貴重な体質の私を失うわけにはいかないからどこかにいる羂索が何とかしてくれるはず。
一軒の廃屋に恐る恐る入ってみる。
ざっと見てみたが、特に変なものはなかった。
(何か寒いな…)
この廃村に来てからずっと寒気がしていたが、段々ともっと寒くなっていくような感じがする。
外からガサッと草を踏む足音が聞こえた。
羂索が来たのだろう。羂索と合流するために廃屋から出る。
「憲倫さん、ここにいま……ひっ!」
「〃↮∆⊃∟≮∂」
目が合った。
ソイツは異様に顔が大きく、胴体が無い代わりに長い手足で四足歩行をしている。
「∞∷∅⊗∞εκ∇」
(怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い)
私は一目散に逃げ出した。
後ろから追いかけてくる足音が近付いてくる。
「√∇∉∬∠≯ρυ」
押し倒された。私は必死に抵抗するが無駄だった。
呪霊は私の下腹部を触る。少し吐き気がした。
この後も何かされるかもしれないと身構えていたが、呪霊は途端に興味をなくしたかのように去っていく。
「今ので孕ませたのか。その後は危害は加えないんだね。」
羂索がどこからともなく来た。
「どこにいたんですか…」
「たはは、木の上から呪霊を観察していてね。そう睨まないでよ。」
さっきの呪霊が羂索の呪力を探知したからか、またやってきた。
「%∣∨∂≦∝∫∮∧」
今度は羂索の方に向かっている。
羂索は呪霊の攻撃を躱すと、赤血操術で身動きが取れないようにした。
「∉≯=≡∌>」
「君を殺すのが目的ではないんだ。契約を結びたくてね。」
羂索と呪霊が会話をしている。お互いの言葉が通じているのかは知らないが。
最終的には呪霊が大きな顔で頷いた。
「多分交渉成立だね。私の言葉が通じるっぽい。」
「コイツを寺に持って帰るんですか?」
「まあね。あ、そうだ。口開けて。」
なぜだろうと思いつつも、羂索に従って口を開けた。
羂索は自分の血を私の口の中に飲み込ませる。
「ゲホッ!」
「吐いちゃ駄目だよ。」
喉に入ったのか、むせたのだった。
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