「もう照、この間から一体何なんだよ…最近のアレといい、今日のコレといい…」
【アレ】と言うのは、少し前に岩本が渡辺にした『お仕置き』の事である…
そしてもう一つ…【コレ】と言うのが…
「どうして目黒ん家に、海鮮食べに行ったらダメなんだよ…」
「だって、2人きりなんだろう?」
「しょうがないだろ。ラウール仕事でパリに行ってるし…今までは何も言わなかったのに、なんで急にそんな事言い出すんだよ…」
岩本はまだ、渡辺に目黒の気持ちを伝えていない…
もちろん本人が告白していないのに、自分が言うのは違うと感じているが
理由はそれだけでは無く…目黒の気持ちを伝えたら、翔太はきっと…目黒の事を気にする様になると思う
例え気持ちが俺にあってたとしても、自分の事を好きらしいと聞かされば…意識してしまうのが、人間と言うものである
「この前佐久間と買い物に行くって言った時は、何も言わなかったのに…どうして目黒ばっかり目の敵にするんだよ」
「だって佐久間はメンバーだし…」
「目黒だってメンバーだ…」
2人のどこが違うのか…渡辺にはその違いが分からない
佐久間はただのメンバーだが…
目黒はただのメンバーでは無い…
岩本の中で分けられたその違いに、おそらく何も聞かされていない渡辺が気づく事は無いだろう
目黒はメンバーであり【恋敵】…岩本の中では渡辺翔太を巡る恋のライバルなのだ
「ねぇ、日にち変えない?明々後日なら、俺も行ける」
「明後日から、目黒がドラマで忙しくなるの!だから、今日食べて英気を養おうって話になったって言っただろ…」
2人の言い合いは延々と続き、渡辺は岩本の反対を押しきって…さっさと目黒の家に行ってしまった
◇◆◇◆
「あぁ…全くもう」
カニの殻を剥きながら、先程の事を思い出す
理解出来ない岩本の行動に…最近、イライラさせられてばかりだ
「あっ…翔太君、そんな乱暴に蟹剥いたら怪我するって…」
「あっ!…っぅ…」
まるで小枝でも折る様に、太い足をバキッと折ると…硬い殻が鋭利に割れて、指を切ってしまう
「ほら、だからちゃんと蟹バサミ使ってって言ったでしょ…」
「悪い…」
キッチンで怪我を洗い流していると、目黒が絆創膏持って来た
「そんなに深く切れてないみたいだから、すぐに血は止まると思うけど…念の為にねっ…」
そう言いながら、丁寧に絆創膏貼ってくれる
『こいつ、こんなに良い奴なのに…』
目黒の何処が気に入らないのか…さっぱり理解出来ずに見つめていると
「!」
「!」
貼り終わった目黒が顔を上げ、至近距離で見つめ合ってしまう
「あっ…ごめん///」
動揺し頬を赤らめ視線を逸らす渡辺に、目黒は嬉しそうに微笑んだ
「何?俺の顔に見とれてた?」
「じょ…冗談は寝てから言え///」
とにかく今は離れようと…一歩後ろに下がると、身体がよろけて転びそうになる
「おっと…!ビックリした…」
耳元に目黒の声…
気がつくと、渡辺は目黒に抱きすくめられていた
「危なっ…!大丈夫?翔太君、痛い所ない?」
お互いの鼓動の音が分かる程、密着している状況に
「あぁ…うん、大丈夫」
渡辺は【意外と筋肉あるんだな…】何て呑気な事を考えていた
コメント
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地の文が第三者目線だと、想像力がかきたてられるけど、めめの心の声が聞けなくてもどかしい!!めめ、どう思ってるんだろう?👀
なぜかこっちは通知来なかった、、、また2話から読んでしまいました😅