テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
番外編70『剣術大会』後編
『『主様…?』』
『ここで剣術大会を荒らせば…連帯責任として私達が負けになるわ。』
『で、でも……!』
『武道での戦いなら…武道で決着をつけなきゃだめ。まぁ、相手が先にそれを覆してきたからより許せないけど。私の妹を人質に使うなんて…余っ程命知らずね。』
私は剣を持ち観客席から剣術会場に降りる。
『主様…ここは俺に…。』
『ハナマル。私が負けると思ってるのかしら?』
『っ…。』
主様はギラッと相手を睨み付ける。
『百合菜は私の妹よ。自分の大切なものは自分で取り返さないと気が済まないの。』
私は剣を抜く。
チャキッ。
『私はいつでも大丈夫よ。』
『っ、お前……。』
『それとも…女に本気になれないのかしら。ほら。私をその刀で斬ればいい。こちらもそれなりの武道の心でお返しするわ。』
私はゆっくりと相手に近付く。
『お前の姉は大馬鹿者だな。うちの主将にあんな態度取って。』
『勝てるわけねぇのにな!』
私の手を縛る男達が嘲る。
『……しないで。』
『『あ?』』
『馬鹿にしないでっ!!』
『百合菜……。』
『お姉ちゃんは誰よりも強い私の最高のお姉ちゃんなの!馬鹿にするやつは許さない!私はどうなってもいい!お姉ちゃん!そいつをぶっ倒して!』
『百合菜……。全く……貴方がどうにかされたら……困るのは私よ。』
私は百合菜の方を見つめ微笑む。
『もう少しだけ、待ってなさい。すぐ助けるわ。』
私は対戦相手に向かって剣を振る。
『く……っ!』
(なんて力強い太刀筋……っこいつただの女じゃねぇ……。)
『あいつ終わったな。主様の逆鱗に触れたんだ。生きて帰れねぇ。』
『ハナマルさん。主様にもしもの事がある前に止めに入ってください。』
『あぁ。そのつもりだ。』
『1本!』
『く……っ。俺は、負ける訳には……。』
『2本先取。次取れば勝ちね。ほんと……大したことないわね。』
『く…っ。ふざけるな……女如きが調子に乗るな!!!おい!そいつそこから投げ落とせ!』
『了解です!』
『え、いや、離して!』
百合菜は観客席から投げ出される。
『主様!!』
『っ、百合菜――!!!』
私は剣を投げ捨て百合菜の方へ走る。
お願い、間に合って―――。
(はっ!馬鹿め、自分から剣を捨てるとは。
これで終わりだ…っ。)
ガシッ!
百合菜が地面に叩き落とされる前にキャッチする。
『はぁ、はぁ、百合菜…。』
『お姉ちゃん…っ。』
『怪我は無い!?』
『うん……っ。ありが――お姉ちゃん!!』
後ろから剣で切りかかろうとする主将に気付く。
『っ――!』
私は百合菜を抱き締め目を瞑る。
その時――。
ガキンッ!
『『え……っ。』』
相手の剣が折れる音がする。
#ベリアン・クライアン
ぷち
187
タコロ
67
MAKO
368
『っ、く……っ。』
そして、ハナマルの刀が相手の首元に差し掛かる。
『……剣を捨てろ。お前の負けだ。そのまま斬りかかるなら……この首落とすぞ。』
『っ……。』
相手はハナマルに恐れ慄きその場に崩れ落ちる。
こうして、剣術大会は幕を閉じる。
相手の主将達はイースト諸侯同盟に連れてかれることに。
『主様達、無事か?』
『ハナマル……うん…。』
『ったく。俺の主様に斬りかかるなんて…許せねぇ。』
『百合菜、ホントに怪我してない?』
『大丈夫だよ、あ、お姉ちゃんそれ……』
『え?』
浴衣の袖が切れ、血が滲んでいた。
『あ……。ちょっとだけ斬られたみたいね、でもこんなのかすり傷――』
と、袖を手で抑えようとした時ハナマルに手を引かれる。
『え、ハナマル……っ?』
控え室
グイッ!
袖を捲り、怪我した所をハナマルは舌で舐めた。
『つぅ……!』
『染みるか……?』
『ん、少し、だけ…』
『妹の前で意地張るのは分かるけどな…。我慢すんじゃねぇよ……。バツとしてお仕置な。後でルカス先生にはちゃんと治療してもらえ。』
ハナマルは私の腕に舌を這わせる。
『っ…。』
痺れる痛みと舐められてるという甘い感覚に襲われる。
『は……っ。』
ハナマルは舌なめずりをする。
『ほんと…無茶するよ、主様。』
ハナマルは私の頭を撫でた。
『百合菜のことになると……ダメね。自分が抑えられない。』
『俺だってそうだよ。主様が危険な目に晒されたら、自分なんか抑えられねぇよ。 』
『ハナマル…。ありがとう。そして、ごめんなさい。』
『本当に、ありがとうございました…。みなさんのおかげです。道場が守られたのも…。ほんとになんと言ったらいいか。』
『いえいえ。私もかすり傷だけでしたから。』
『あの、お礼と言ってはなんですが……。』
依頼主がチケットを渡す。
『これは?』
『私からのほんの気持ちです。傷を癒すという名で東の大地に薬湯温泉というのがありまして。皆さんでぜひ行ってください。』
『1泊2日だってお姉ちゃん!旅行券だよ!』
『あのよろしいんですか?』
『はい。今回のことは感謝してもし切れませんから。ぜひ楽しんできて下さい。料理もとても美味しいですよ。』
『飯……(*´﹃`*)』
バスティンがお腹を鳴らす。
『……。分かりました。ありがたく頂戴します。』
『やったー!お姉ちゃんと旅行だー!』
(主様と温泉旅行……。)
主様たちは知らなかった。この旅行が波乱の幕開けになることを―――。
めでたしめでたし!
コメント
1件
番外編、めっちゃよかったです…! 主様が百合菜ちゃんを守るために自ら剣を取る覚悟、カッコよすぎました。 「自分の大切なものは自分で取り返す」って台詞、胸に刺さりました。 百合菜ちゃんが「お姉ちゃんを馬鹿にしないで!」って叫ぶシーンも泣けました…。 最後、ハナマルが怪我を♡♡♡甘いお仕置き、ドキドキしました🥀 温泉旅行、波乱の予感…続きすごく気になります! 更新ありがとうございます、また読みに来ますね🤍