橙「兎白さん。雨花さんが現在行方不明です。」兎白「もしかして……」
瑠璃人「あぁ、きっとあいつもう」
「消えるつもりだ」
桃時「兎白たち行けるわよね」
兎白「行くしかないだろ」
瑠璃人「本当に世話焼かせやがって」
「不山橙」と「桃時」が「兎白」、「瑠璃人」を呼び寄せて、とうとう雨花の所へ向かう。
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???「雫さん。お話があります。」
???「橙に桃時、兎白に瑠璃人。どうしたんだい?中に入りなさい。」
ここは、雫の家。橙たちは自分たちの目的のためここに出向いた。
橙「雨花さんのことです。」
雫「…………とうとうか。」
桃時「雫さんなら雨花がどこにいるのか知ってるんじゃないですか?」
雫「もし、知っていたとしたらどうするんだい?」
瑠璃人「恩人に手荒な真似はしたくない。雨花がオレたち以外で頼れる神様と言ったら雫さんしかいねぇ。早く教えて下さい」
兎白「お願いします。あいつがあの技を手に入れる前に……!」
雫「もう雨花はその力を手に入れたよ。」
橙・桃時・兎白・瑠璃人「え」
橙「今……今……何て言いました?」
雫「雨花はその力を手に入れたと言ったんだ。」
桃時「何で知ってて止めないんですか!?!?」
雫「……本当に止めることが君たちは正しいと想っているかい?」
桃時「そりゃあそうですよ!」
瑠璃人「あいつに消えられたら困るんです。」
雫「それは君たちだけのこと。君たちの都合だ。雨花の気持ちには関係ない。」
橙「このまま……このまま雨花さんが消えるなんて嫌です。まだ話したいこともやりたいことも沢山あるのに……」
雫「それも関係ないね。」
兎白「雫さんはこのまま消えることが雨花の望んでいることだとでも?」
雫「…………昔の話だ。遠い遠い昔。ある神にたった一人の弟子がいた。その神はその弟子のことを深く愛していた。」
瑠璃人「その話と雨花と何の関係があるんですか?」
雫「別に聴かなくても構わないよ。聴くかい?」
橙「話を続けて下さい。」
雫「その弟子は、とても真剣にその神による修行を行っていた。しかしながら、その弟子がなぜ修行を受けていたのか。それは……」
「「雨花と同じく、自分自身の存在を完全消滅するためだったんだ。」」
橙・桃時・兎白・瑠璃人「!」
雫「その弟子は、その神の止めを振り切り、とうとう「神魂滅裂」は開始させた。そして……消えた。「神魂滅裂」は普通の神堕ちとは違う。普通の神堕ちは、神通力と妖術の合わせ技【三千世界】で神堕ちした者の魂を本物そっくりに作り替えて、体に戻すことで解除できる。でも、魂を作り替えるということは、魂というとても繊細なものを変えてしまう可能性がある。事実、神堕ちした者の魂が変わり、人格に影響を及ぼす者を私は何度もみている。だから、魂の消滅が推奨されているんだ。しかし、「神魂滅裂」は違う。「神魂滅裂」は神堕ちをして一気に神堕ちの速度を倍増させて、魂を滅ぼす。「神魂滅裂」で魂を消滅させた者はもうどうすることも出来ない。」
橙「知らなかった……神堕ちに解除法があるなんて……」
《それに、お師匠様ならいつでも、妖怪も人間もいつでも制圧できるからね。……確か…………「三千世界」っていう神通力と妖術の合わせ技で》
【三千世界】という技を知っていたならじゃあきっと雨花さんも、普通の神堕ちでは、消えられないと知っていたんでしょうね……
桃時「でも、神堕ちした当の本人は嫌なんじゃないかしら?」
瑠璃人「あぁ、オレだったらせっかく消えられたと想ったのに、勝手にそっちの「生きて欲しい」っていうエゴで魂を作り替えられるのは嫌だn」
兎白「どうしたんだ?」
瑠璃人「「生きて欲しい」はエゴ……」
橙・桃時・兎白「!」
消えたいと雨花はそう望んでいる。消えたいという気持ちを橙たちだって知っている。
自分たちが今どこにいて、どこに向かいたいのか、どこに行くのが正解なのか、何も感じなくなっていくあの果てしなく広がる絶望を。
橙たちだって知っているのだ。
その中にいるのに、何も知らない他人に、突かれ、「生きろ」と言われたら益々苦しくなる。橙たちは言葉を失った。
雫「止めるのも止めないのも君たち次第。ここまで話をきいてくれたんだ。連れて行って欲しいなら連れていくよ。」
雫は奥の部屋へと向かった。
何十分こうしていただろう。声を出す者がいた。
桃時「アタシは……性格悪いのよね。」
瑠璃人「何だよ。突然」
桃時「アタシは自分のエゴを……」
「「押し通したい……!」」
瑠璃人「桃時……」
桃時「アタシはアタシのエゴを絶対通しきる。何が何でも……!だって……アタシもう嫌なの!!自分のわがままを我慢するのは……!」
桃時の頭に過去が蘇る。
本当は可愛い服を着て、メイクして、おしゃれして、自分らしく生きたかった自分。
それをずっと否定され続けた自分。
そんな自分を雨花はみつけてくれたこと。
橙「それで良いと想います。」
兎白「…………橙……」
橙「それに雨花さんだって「消えたい」というエゴを押し通そうとしてるんですから、私たちだって押し通す権利……ありますよね?」
瑠璃人「雨花には殴り飛ばしてでもオレたちのエゴを押し通してみせるぜ!オレは!」
兎白「…………これが正しいんだろうか。俺だって雨花には消えて欲しくない。幸せになって欲しい。でも……本当にこの気持ちを押し通すことが正しいことなのか……」
橙「桃時さん?」
桃時「橙?」
二人は大きく呼吸する。そして……
「「ばっっっっっっっっかじゃないの!!!!」」
兎白「!」
瑠璃人「いや声デカすぎ」
桃時はぜぇぜぇ言いながら兎白をみつめ、橙もみつめる。
橙「正しいとか間違いとかそんなものにこだわらなくて良いんです!相手もエゴを押し通す気ならこっちだって押し通す。当たり前のことです!」
桃時「そうやって気持ちをぶつけ合うことに正しいも間違いもない。ただ自分の気持ちを伝えるってことが大切なの!兎白のエゴを押し通すわよ!」
《命を生むという行為をする権利自体を誰しもが持っているように、命を自ら手放す権利自体もみんなあるんだよ。》
正誤なんて関係なくて、そんなものにこだわっていたら自分がもったいない。大切な人が「消えたい」と泣いてその意志を貫くなら、私だって、私たちだって、「消えて欲しくない」と、「どうか生きて欲しい」とその意志を貫かせてもらう。雨花さんの言うように、命を手放す権利があるなら、それを止める権利だってある。その権利を行使する。
「一緒に!!」
兎白「あぁ!」
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雫「決まったかい?」
橙「はい私たちは……自分のエゴを貫き通します!!!!」
雫は、橙、桃時、兎白、瑠璃人の目をじっくりみつめ、そして……
雫「じゃあ行こうか……」
《なので、お師匠様。「例のこと」頼みましたよ》
「雨花の元へ」
橙「雨花さんーーーー!!!!」
橙たちが来たのは、雫が特別に作った異空間。だから桃時も探れなかった。
目の前には灯りを灯さないと分からないほど果てしなく闇が広がっていた。
雫「…………これは……」
兎白「何ですか?」
雫が手をかざすと一気に辺りが明るくなった。そして……そこには……
体がポロポロと崩れていく雨花がいた。
橙「あ…………め……か……さん」
橙は必死に走って、雨花を抱き締めた。しかし、もう、体がポロポロ紙屑のように崩れていく。
雨花「橙ちゃん……ここまで来てくれたってことは……本当にわたしに消えないでいて欲しかったんだね……ごめんね……でもわたし……もう……嫌なんだ…………自分が自分でいる限り、わたしは自分を許せない……自分なんて……ものが……あることそのものが耐えられない。これがわたしの「最適解」なの……」
桃時「あ……あんた……」
橙「きいて……たん……ですか?私たちの話。」
雨花は、「あはは」と空気のように軽い笑い声を発する。
橙「ま、まだ何とかなります……絶対……何とかします……雫さん!!魂を作り替えることできますよね?この状態神堕ちと同じなんでしょ?……ねぇ!雫さん!!」
雫「言っただろう。「神魂滅裂」で魂を消滅した者はもう……ん?」
桃時「…………ちょっとあんた!!!!まだあんたのこと全然説教できてないわよ!!!!あんたのせいでアタシ泣かせられたのよ?今だって……こんなに涙が出てる……!消えるなんて絶対許さない!!!!ちょっと聴いてんの?!?!」
雨花「最後まで……桃時……ちゃんは……桃時ちゃん……だね。直情的で……真っ直ぐで……自分の気持ちを言うのが上手……そういうところも可愛いね」
兎白「雨花。俺は……結局……何も出来なかった…………お前に何も返してやれてない……なのに……」
雨花「兎白く……ん……の泣き顔……久しく……みてなかったから……最後にみれて……良かった……」
瑠璃人「雨花のバカヤロウ!!橙にこんな顔させやがって!!!!ふざけんな!!!!もっとオレたちと……オレたちと……うっ……」
雨花「ごめんね……本当は独……りで……消え……るつもり……だったん……だけど……なんだかんだ……みんなに……看取られたかったのかな……あはは……」
雨花「もう……そろ……そろ時間だね……」
橙・桃時・兎白・瑠璃人「!」
「待って……!待って下さい!!!!」
「雨花……っ!雨花!!!!!!!」
「くっ……あめ……か……」
「こんなのありかよ……クソっ!!!!」
雨花「(あぁこれが消えるってことなんだ。こんなにもこんなにも人に悲しい顔をさせて苦しくなって、自分も淋しくなる……こんな感覚なんだね。消えるのって……。こんなにも心もとないって分かってるなら、やっぱり、いくら死んでも、消えても、楽にはなれないんだね。もしかしたら、それが分かるほど、わたしが愛されてただけなのかもしれないけど、でも、もし、わたしが愛されてなくても……それでも…………)」
死んでも、消えても
楽になることはできないと
わたしは想う。
こんなに淋しく涙が出て
暖かさでも冷たさでも
満たされないことは
そう…………ない……
「(あっ最後にこれだけは……)」
雨花は満面の笑みでこう言った。
雨花「み……んな……こんな大罪人の……わたしを……どうしようも……ない……クズに……すら……なれない……こんな……最低なわたしを……」
「「救おうとしてくれてありがとう!」」
もし
来世なんてものがあるのなら
もしわたしが願って良いのなら
橙ちゃん、桃時ちゃん、兎白くん、瑠璃くんと
ずっといられて
日の元で咲いて優しい人に囲まれた
花のような
生き方をしたいな
……なんてね
そして、雨花は、
橙、桃時、兎白、瑠璃人の手の中で崩れながら消えていった。
橙「あ……あぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
桃時「ぐずっ…………うっ………………」
兎白は、桃時に声をかけようと。瑠璃人は、橙に声をかけようとしたが、何だかそれはしてはいけない気がして、そして……
兎白「………………ぐすっ……」
瑠璃人「あぁ……わぁぁぁぁん……」
四人は絶望に打ちひしがれていた。
瑠璃人は、頼りになる姉弟子。そして、友を。
兎白は、一緒に釜の飯を食べた修行仲間を。
桃時は、初めてできた女友達を。
橙は、最愛の親友を。
目の前で失った。
雫「君たち今ブラッドブレスレット付けてるかい?」
橙「……は?」
瑠璃人「何ですか……突然……」
雫「もしかしたらできるかもしれない……」
桃時「何がですか?」
雫「雨花と一緒にいられること!!!!」
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橙「で、でも、「神魂滅裂」で消えた魂はどうすることも……」
雫「通常ならね。でも雨花は消えた時、君たちと同じブラッドブレスレットを付けていた。君たちのブレスレットと同じ石を持つブレスレットと消えたんだ。つまり……」
桃時「繋がりがある……?」
雫「そういうこと。それを証拠に君たちの雨花に関する記憶はまだ消えてない。」
「しかし、」と雫は話を続ける。
雫「これには君たちにとても大きな代償を支払ってもらわなくてはならない。」
兎白「代償?」
瑠璃人「なんですかそれ?」
雫「それは……」
「「君たちの魂だ」」
橙・桃時・兎白・瑠璃人「…………」
橙「もう少し具体的に説明して下さい」
雫「まず……」
雫の説明はこうだ。
まず、雨花が持っていたブラッドブレスレットと同じ石を橙、桃時、兎白、瑠璃人も所持している。つまり、雨花と一緒に消滅した石と同じものを持っているため、一度消えたものとみえない糸で繋がっている状態。その糸を利用する。まず、雫が神通力と妖術の合わせ技【三千世界】を使い、その糸を手繰り寄せて雨花の石と繋げる。石には血液が付いているため、橙たちの血液とそして石と混ざり合えば、雨花を再び転生させることが出来る。しかし、これにはとても大きなリスクを背負うとことになる。
それは、橙たちの魂を賭けなくてはならないということ。
雫の使う「三千世界」は、魂を自由に操作できるというもの。そして本来なら神様の魂は操作できない。
橙「それはどうするんですか?」
雫「ここは……私の魂を賭ける」
橙・桃時・兎白・瑠璃人「!」
橙「でも!そんなことしたら……!」
雫「君たちが魂を賭けるのに師匠である私が賭けない訳にはいかないだろう。大丈夫。私は今ここにいる中で一番強い。エンジン切れなんてしないよ」
しかし、橙たちは分かっていた。今のセリフははったりだと。生き物の魂を操作することがどれほど自分の魂に負荷をかけるか。雫でもとても難しいだろう。橙たちだってそのことをとてもよく分かっている。
雫は自分たちと……
雫「それに私の魂は作られたものなんだ」
橙・桃時・兎白・瑠璃人「え?」
雫「さっき話しただろう?大昔のある神とある弟子の話」
雫は雨花が消えていった方角をみながら、こう言った。
雫「私の魂はそのある神。つまり万能神様が、自分の血液の一部とあらゆる妖怪の血液を混ぜて作られたものなんだ。万能神様は、深く深く弟子を愛していた。その弟子がいなくなったことに耐えきれなかった万能神様は、弟子そっくりに魂を作った。それが私だ。」
橙「で、でもその通りなら万能神様悲しまれるんじゃ……」
雫「万能神様とはもう話してきた。……こうなることも考えて。……私の心配なんてしなくて良い。どの道私は存在自体があの世の法律違反。いつかはどこかで滅びるべきだったんだ。まぁここで滅びるかは分からないが……ふふっ」
橙「雫さん……」
この人は本気なんだと改めて分かった。
雫「君たちの魂を手繰り合わせた雨花の血と君たちの血に注ぎ込む。そうすれば、雨花を転生させられる。しかし、これは特例中の特例。君たちは違う世界線で転生する。一度消えてしまった者を同じ世界線で転生すると時空が歪んでしまうから。君たちは一心同体だ。離れたくても離れられなくなる。どんな転生姿になるかも分からない。家庭環境が劣悪だったりそもそも人間になれなかったりするかも……」
橙「雫さん。これが離れたい顔にみえますか?」
橙も桃時も兎白も瑠璃人もとっくに決意したそんな顔をしていた。
雫「分かった。じゃあやろう。君たちはもう二度とここには帰って来れない。ここで知り合った者たちとはもう会えない。君たちのことも忘れられる。忘れられた部分は別の何かに当てられる。本当にやるんだね?」
橙・桃時・兎白・瑠璃人「はい!!!!」
雫「じゃあ始めるよ」
雫「神通妖術・奥義・【三千世界】」
そう雫が言った途端、一気に体が軽くなった。橙たちは円になって手を繋いで、体が宙に浮くと、自分の体が光の中に溶けていきはじめた。
「紅緒さん、紅蓮さん、紅葉さん、茜さん、小雨丸さん」
「翡翠」
「母さん、父さん」
「海音、小春」
「……ついでに化茶さん」
ありがとう
さようなら
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《ここだっけ?》《そうそう!ここが例の……》
《あれだっけ?透明の彼岸花?》《違う違う。透明「色」の彼岸花だよ!何か新しく図鑑に乗るから「色」っていう括りにした方が良いみたいだぜ?》《でも「透明色の彼岸花」の方がかっこよくね?》《そうか?あっこれこれ》
大衆が忙しなく歩いているここは、『彼岸花園』。様々な種類の彼岸花が咲く中、一際、観られているのがこの花びらが透明の彼岸花。一輪しか咲いていないのもあって、とても目立っている。
《でな?この「透明色の彼岸花」にはもう一つ魅力があるんだよ》《魅力?》《春の明け方の夕方、本当に時々雲が紫色になる時あるだろ?その時にこの彼岸花は、真ん中の一番中心に一枚ずつ橙色と桃色と白色と瑠璃色、そして、何と紫の花びらが円形に並んでんだよ》《おぉ!今まさに天気ドンピシャじゃん!!》《だから連れてきたんだよ!お前が嫌がるから遅くなっちまったじゃねぇか!》《わりぃわりぃ花になんて興味なかったから〜でも……こうしてみると何だか仲良しにみえるな?この中心の花びらたち》《花びらに仲良し感じるなんてやっぱお前みる目あるじゃん!》《はいはい……ってげ!?雨降ってきた!》《何だよせっかく楽しんでたのに〜》
大衆は屋内に入っていった。
「あはは!!」
「ふふっ」
「うふふっ」
「はははっ!」
「ぷっふふっ」
《ん?何か笑い声しなかったか?》《何言ってんだよ?早く中入ろうぜ!》
雨が降り始め、ひと滴雫が「透明色の彼岸花」に垂れた。
「透明色の彼岸花」の中心には艶やかに映える花びらが仲良く笑っている……ようにみえた。
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