いつからだろうかひとりが怖くなくなったのは。いつからだろうか。こんなにも「文」を求めてしまうのは。
僕は書きたい。
「フツウ」とか「セカイ」とかを全部ぶっ壊すものを、
「比較」とか「平均」とかも反論できないことを。
嘘でも偽りでもいい。
いや、嘘とか偽りじゃないといけないんだ。本当ばっかり見ていたら、世界なんて大きすぎて一生じゃ足りないくらい傷ついてしまう。
所詮物語なんて嘘なんだからと頭で考えはするが求めてしまう。
僕は本を求める。偽りを求める。
それは、もう、読むだけでは満たされない。
書きたい。
そんな衝動が体中を駆け巡り炭酸のように刺激を与える。
その刺激を受けた脳は本能的に紙とペンを握る。
それはまるで僕が磁石になったみたいだ。
いや、紙とペンに引き寄せられている。まるで、磁石にくっつこうとする鉄みたいに。
そして僕の腕はひとつの生き物のように脳が追いつかぬうちに文字を紙の上に生み出していく。
そこにあるのは自分の字によく似た異国の文字みたいだ。
脳が追いつかず単語として文字を理解できない。
しかし、脳は感情をひとつ掴み取った。
「楽しい。」
わかる。わかる。
文字が理解できなくても、何かを確実に僕は生み出している。
意味なんてないけど物語を創っている。それは心を喜びで満たし、スペースが足りず不安を追い出す。
それは下手くそで面白くなくても全身を麻痺させるように体を侵食していく。
そうやって残ったのは僕だ。
社会に合わせた全ての感情が「創作」という怪物により食い殺され、そこに残るのは生気すら見いだせない物語に囚われた僕だ。
何からか開放された自分はまた自ら、囚われている。
嫌になった社会から逃げ生きるとはまたほかのものを恐れとらわれ殺されることと同じだ。
しかし自分の快楽に捕われるなら苦ではない。
作品が売れなくても書き続ける。
最高傑作が創れた僕はこれから死ぬのであろう。
これは僕の遺書と呼べる。
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