テラーノベル
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夜。
部屋の灯りは、
昨日と同じ。
スマホを、
手に持つ。
画面を見る。
通話履歴は、
さっきで止まっている。
静か。
鳴らない。
少しして、
画面が光る。
涼真
さっきはありがとう
声、かわいかった
文字なのに、
声を思い出す。
近い。
紗良
うん
送信。
すぐ、
返ってくる。
涼真
会う前にさ
ひとつだけ
約束してほしいんだけど
一行ずつ。
急がせない。
断らせない。
紗良
約束?
既読。
すぐ。
涼真
うん
大したことじゃないよ
その言い方が、
やさしい。
涼真
初めて会う前は
他の人とは
会わないでほしい
理由は、
まだ出ていない。
涼真
紗良のこと
ちゃんと知りたいから
知りたい。
悪い言葉じゃない。
涼真
変な意味じゃないよ
心配なだけ
心配。
それも、
普通の言葉。
画面を、
見つめる。
“会う前”。
もう、
会う前提になっている。
紗良
……うん
送信。
文字は、
短い。
涼真
ありがとう
そういうところ
大事にしたいんだ
大事。
その言葉が、
残る。
涼真
俺も
会うまでは
誰とも会わないから
公平。
そう見える。
涼真
じゃあ
ちゃんと会おう
ちゃんと。
何が、
ちゃんとなのか。
スマホを、
置く。
部屋は、
静か。
守られている、
気もする。
少しだけ。
でも。
“約束”は、
会う前から、
するものだろうか。
「声がかわいすぎるから、
すごく大事にしたくなる」
——そう言われた気がした。
——静止。
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