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「リィお兄様!」
「!…レリア」
邸(やしき)に戻って廊下を歩いていると、レリアに会った。
「もう!どこに行ってたのですか!」
「あぁ……悪いね、庭で少し散歩していたんだよ」
咄嗟(とっさ)に言い訳するとレリアは少し拗(す)ねたように
「私もいっしょに行きたかったですわ……」
と、頬を膨(ふく)らませる。
そんなことしても可愛いしか出ないぞ()
そんな事してるから周りの男の顔が真っ赤に茹(ゆで)で上がってるいじゃないか。
レリアの頭を撫(な)でて
「ごめんね、また今度一緒に散歩しようか」
と言うと、花が咲いたように表情が明るくなり、笑顔で頷(うなず)いた。可愛い。
そしたら近くでバタンッと何かが倒れた音がする。
……さっきのがやられたんだな()
時計を見ると午後の8時を指していた。
来た時は確か7時だったかな。
「レリア、そろそろ帰ろうか、それともまだ楽しむかい?」
「うーん……ぶとうかいはもうじゅうぶんたのんだわ!」
「そうか、それじゃあそろそろ家へ帰ろうか」
「はい!」
そう言って笑いかけてくる。
本当に可愛いな僕の妹は。
やはり世界一可愛い。異論は認めん。
だけど、微(かす)かにレリアの笑顔を見て、胸が痛んだ。
騙している事に対しての罪悪感には気付かないフリをして、来た馬車に乗り、家へ帰った。