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外に飛び出したはいいものの、天気は最悪。
天気予報を見ていなかったり、カーテンを開けなかったのが悪いが
警報級の大雨だとは思わなかった。
傘を取りに帰ろうとは思わなかった。
久しぶりの外。久しぶりの人。久しぶりに走る。
全てに目眩がした。
でも、ここで足を止めてはいられない。
半年と1ヶ月前の俺が見たらどんな事をしたらこんなに体力がなくなるのか
仕方ない。
結局、寝たきりだったのだから。
前までは歩いても10分ほどで着いた目的地は走っても15分かかってしまった。
俺はすぐ建物の中に入り受け付けをガン無視して目的地へ向かった。
「すみません!ここは病院ですよ!?」
受け付けの人が追いかけてくるのもお構い無しに俺はとある病室にいた。
「すみません!そこは重症の患者様が…」
そんな言葉を遮るように俺は勢いよく扉を開けた。
そこには、手紙に書いてあった通りMnがいた。
1ヶ月前とは比べ物にならないくらい痩せていて顔色が悪かった。
「Mn!!」
俺の声に気が付いたのだろうけど目は開かない。
「Qッn?」
「Mn、俺だよ。Qnだよっ」
「そ…っか。ここまで…これたか。」
「Mn、どういう事っ?もうすぐ死ぬって…ッ」
「そのまんま、だよ」
「ふざけるなよ?俺はまだお前とゲームっしてねぇじゃんッ。」
「それは、お前がッ悪い。」
「ッMnのバカっ!!」
「窓際にあるビニール袋ッ、持ってってな。」
「Mnっ…Mnッ!!」
それから、Mnは一言も喋らなかった。
受け付けの人に慰めてもらいながらおれは病室を後にした。
家に戻り、ビニール袋を開けた。
そこにはゼリー類はなく、花と6封筒が入っていた。
封筒を開くとそこには輪ゴムで4個の束にしてある手紙が入っていた。
それぞれメンバーに宛てた手紙だった。
そのうちの一つ。俺宛の手紙を見つけ、読み始めた。
終わりの方はもう涙で目が塞がれ見えなくなっていた。
ただ、最期に1言。
【大好き。】
その1言と、5色のバラが俺の心を
遠く彼方の君に奪われた。
No.00へ続く。