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コメント
1件
ああ、もう……この再会のシーン、胸がぎゅっとなりました。2年ぶりに「依鈴?」って呼ぶ声が聞こえてきそうで。「忘れたことなんて、一度もなかった」って一行に、漣くんのずっと閉じ込めてた気持ちが全部詰まってる気がします。最後の「春の大学で始まろうとしていた」という余韻が、花火の夜の思い出をそっと塗り替えていくみたいで、すごく好きです。続き、楽しみにしています🌷
二年という時間は、長かった。
俺は大学三年生になっていた。
講義は忙しくなり、友達と過ごす毎日にも、それなりに満足している。
あの夏のことを思い出すことも、昔ほど多くなくなった。
それでも、夏になると決まって思い出す。
風に揺れる黒い髪。
夕暮れの神社。
花火の夜。
そして――依鈴。
「漣、そっち頼む」
「分かった」
俺は大学の広場で、新入生に向けてチラシを配っていた。
たくさんの学生が行き交う中、ふと視界の端に黒い髪が映った。
長い黒髪。
細い背中。
どこか見覚えのある姿。
「……」
まさか。
そんなわけない。
そう思いながら、俺はその後ろ姿を目で追った。
少女が振り返る。
目が合った。
息が止まった。
「……依鈴?」
二年前、あの夏の日に何度も呼んだ名前。
忘れたことなんて、一度もなかった。
彼女は少しだけ目を見開いた。
そして――
「……漣くん?」
その声を聞いた瞬間、胸の奥が熱くなった。
「久しぶり」
「……大学生だったんだ」
「今日からね。一年生」
そう言って、依鈴は少し笑った。
俺は何も言えなかった。
二年間、もう会えないと思っていた。
それなのに。
今、俺の目の前にいる。
しかも、同じ大学に。
「漣くんは?」
「俺は三年」
「じゃあ、先輩だ」
「……そうなるな」
「よろしくお願いします、先輩」
冗談なのか、本気なのか分からない顔で言う。
その仕草まで、どこか懐かしかった。
俺は思わず笑った。
「こちらこそ」
二年前の夏に終わったと思っていた恋が。
今度は、春の大学で始まろうとしていた。