テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
596
不満でいっぱいだったが、姫の鞄も取り後は着替えだけとなった。
「制服の置いてある場所は?」
「生徒会室だ」
「着替えずにそのまま、持って行け時間の無駄だ、後は先生方の時間も奪ってるからな」
「むっ」
ムカムカとしたけれど、その通りではあるので生徒会室に到着し、会長に鍵を開けてもらい「パチッ」と電気を点けて制服を手に取ろうとした時に、「待て」と制止させられた。
「何だよ会長」
会長はポケットからケースを取り出し「パカッ」と開けた。
それは式典の時に、受け渡される筈だった姫の証となる【ピンバッジ】を会長が取り出して、オレの襟元へ付けた。
「こんな場所で悪いがこれで正式にお前が姫だ」と微笑を浮かべ、オレの手にケースを乗せられた。
何とも言えない複雑な感情で、素直に喜べないだってオレは大半の生徒たちに祝福すら受けてない。
パチパチパチパチ
先生方が拍手をしてくれる。
「先生方ありがとう」
バッとオレは頭を下げた。
また泣いてしまいそうで、グッと堪えた。
「佐久間の良さはこれからわかるさ」
「そうそう岩本先生いい事言う!」
バンバン岩本先生の背中を深澤先生は叩いていた。
(岩本先生痛くないのか!?)
制服を手に取って生徒会室を出た。
深澤先生と岩本先生は、下駄箱の所まで一緒に送ってくれて、隣の寮までは会長と一緒に帰る事になった。
帰り道ー
「会長ごめんな迷惑掛けてさ、でもおっさんから助けてくれてありがとう!」
「別に、生徒を守るのも生徒会長の仕事だ」
顔をそらした。
「あー照れてる」
会長を茶化していていたら、
オレの両頬を親指と人差し指で摘まれて口をタコのようにされた。
「_ひゃいしょーうひゃめれーっ@会長やめれ―_」
(この顔も好きだ)
ついおちょくってしまい、楽しくてしょうがなかった。
姫の部屋の前まで到着する。
「わざわざ送ってもらわなくても……」らしくもなく謙遜して来たが
(早い時間帯から飲んでいたのか、完全に出来上がっていていた酔っぱらいのおっさんに、怖い目にあった事を思い出させたくないないからな)
「お前はこの学園の姫なんだからそれに…」と言いかけてオレは、それ以上理由について言葉にしなかった。
「じゃあな会長」
「明日にまた」
扉の閉まるまで見ていたのだが、しばらくその場から動かなかった。
念の為に誰も付いて来てないか、周りを確認してから帰ろと思っていたからだ。
すると
ん?
ドアの前に何かが落ちている。
拾い上げるとピンク色の粒状の錠剤だった。
姫の部屋の前に落ちていたから、あいつの落とし物だろう。薬なんて服用してるのか?
裏側を見るとABのロゴ入りだった。
俺の父の会社【AB製薬】の市販薬?一体どんな?
会社の設立当初は阿部製薬だったのだが、父の代からAB製薬と社名を変更した。そしてロゴも新たに作り、薬をブランド化した。
業績は上がる一方で風邪薬が、コンビニさえ置かれている位には売れ筋となっている。
(この錠剤風邪薬ではなさそうだな)
明日返せばいいか……
何気なく制服のポケットへ仕舞ってその場を立ち去った。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!