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討伐隊が集まった翌朝、魔獣が少し動いた。夜が明けたばかりの早朝、向きを変えたのだ。見張りの者が、ギデオンに伝えに来た。ギデオンが慌てて部屋を飛び出る様子を、リオはベッドの上から見ていた。本当はついて行きたい。だけどギデオンや皆の邪魔になる。だから静観している。 ベッドから降り、窓に近づく。窓からも魔獣がいる雪山が見える。確かに北東を向いていた頭が、東を向いている。ほんの少し、向きが変わっている。起きたのか?それとも眠りながら向きを変えた?浅い眠りなのか?そもそもがなぜ、快適である巣穴から出てきたのか?謎だ。
リオが魔獣を観察していると、ギデオンが戻ってきた。厳しい顔をしている。リオの傍へ来て肩に手を乗せ口を開く。
「今から魔獣討伐へ向かう。リオは約束通り、裏山の洞窟へ避難だ」
「…わかった。危なくなったら避難する」
「ダメだ。今すぐだ」
「嫌だ。だって近隣の人達にも声をかけてからじゃないと」
「この地域は、昔から大規模な雪崩や地震が多く、その為に各家々が、地下に避難用の穴を掘ってある。だから大丈夫だ。それに魔獣討伐に向かいながら、各家に避難するよう指示を出す。リオは…アンと共に洞窟に避難してくれ」
リオは不満を顔に出す。口を尖らせて顔を背けた先で、この不穏な雰囲気の中なのに、ベッドの上で気持ちよさそうに眠るアンの姿が目に入り、肩の力が抜けた。
「…わかったよ。避難はする。だけど何もわからずに隠れているのはしんどい。だから、魔獣とギデオン達の様子は見ていたい。ヤバいと思ったら避難する。…あ、そんな怖い顔したってダメだよっ、これは譲らないから!」
リオの言葉を聞くにつれて、ギデオンの頬がピクピクと震え出した。怖い顔が更に怖くなり、怒っているとわかるけど、リオは折れない。
本当はついて行きたいのを我慢してるんだから、これくらいはさせてもらう。
ギデオンは、しばらく頬をピクピクとさせていたけど、リオが折れそうにないとわかったのか、ふぅ…と息を吐き出した。
「おまえは頑固だな。まあ…そういうところも好ましく思っているのだが。いいかリオ。これだけは肝に銘じておいてくれ。俺は、おまえが大切だ。何がなんでも無事でいてほしい。だから必ず、いざという時は安全な場所にいると約束してほしい」
「約束…する」
「ありがとう」
ギデオンの手が、リオの頭、頬と順番に撫でていく。
リオは俯き、動揺を隠すようにギデオンから離れる。なんだ今の。一瞬、愛の告白をされたのかと思った。ギデオンめ、変な言い方するなよ…勘違いしちゃうじゃんか。今すごくドキドキしてるし。どうしてくれんだよ。