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有一郎side
屋上のドアを開けると、フェンスの上に無一郎が座っていた。
「お前、なんてとこ座ってんだ!!」
「さっさと降りろ!!」
「…ごめんね、兄さん」
「どういうことだよ…!」
「…もうすぐ降りるよ」
「さっさと降りて、一緒に帰るぞ」
「…さようなら」
そう言って無一郎は、屋上からグラウンドへ向かって飛び降りた
「無一郎!!無一郎!!」
俺はグラウンドへ走った
でも、もう遅かった
「む、無一郎…」
「救急車…!」
あの後、無一郎は病院に搬送されたが、
もう既に息を引き取っていた
「なんで…いつも俺の周りから人が消えて行くんだ…」
俺は、無一郎がいるベットに顔を埋めた
気づいたら俺は泣いていた
「…家に帰るか」
「ただいま…」
いつも帰ってきたら聞こえるはずの無一郎の声が聞こえなかった
「帰ってくるはず…ないんだけど」
「あ、無一郎の部屋…」
いつもだったら絶対に入らない無一郎の部屋
無一郎が居なくなった今、少しだけなら…
「入っても…いいよな」
「手紙…?」
「読むか…」
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拝啓 兄さんへ
これを兄さんが読んだということは、
きっと自殺は成功したのでしょう
僕は最後まで、出来損ないの弟だった
こんな僕を、見捨てずに4年間も育ててくれてありがとう
たった4年間で、数え切れないくらい
迷惑、心配をかけました
でも、それももうなくなるね
これからは自由だよ
今まで、本当にありがとう
そして、さようなら
僕のことは忘れて、幸せになってね
無一郎より
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「っ…..ポロッ」
「お前がいないと、ダメなんだよ…」
「戻ってきてよ…ポロッ」
14歳にして、俺は本当に1人になった
無一郎は、なんで自殺なんてしたんだ
頭の中にはそれしか無かった
「無一郎の担任に聞けば、なにかわかるかもしれない」
そうと決まれば早速明日、聞いてみよう