「なぁ、あそこになんか居ね?」
そう言いながら海夏人が指差した先には
紫色で目が1つしかないワニのような
何かがいた。
目が1つしかないのもおかしいけど、
それよりもワニのサイズがとてつもなく…
小さかった。
「なんだあれ..」
「目が1つ..」
「てかちっさくね?」
みんなして笑いながら馬鹿にしてるけど、
なんだか違和感を感じる。
「ねぇ、あれ遠近法で小さく見えてるとかじゃないよね?」
「なわけないだろ!!」
「でもそう言って後ろに居たりして..」
「怖いこと言うなよ!!」
後ろ?
そういえばさっきより、太陽の光を感じない。
そう思い、振り返ると、
ほぼ0距離に紫色のワニが居た。
しかも、さっきより大きかった。
「ぇ?」
私がそう声を漏らすとワニはニヤリと笑って
牙を見せた。
「おい!!逃げろ!!」
「あ、ぇ..待って..」
いつの間にか皆は、木の影に隠れていた。
私を置いて。
なんか一声かけてくれたら良かったのに。
「このワニ、飛んだりしないよな?」
「なわけ」
「だってワニだぞ?」
「でもあいつ目1つしかないだろ」
待って。
もしかして、
想像したら本当になるとかじゃないよね?
そう思った瞬間、ワニは飛んで、
すごい速さでこちらに向かってきていた。
「みんな!これ思った通りになるのかも..」
私がそう言うと
「まじかよ..」
と声を零す。
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