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皆さんこんにちは!こうちゃです。
こちらでは主にヘタリア体調不良短編集をお届けできたらなと思います。色んなペアで挑戦していこうと思うので、お好きなものから読んで頂けたら嬉しいです✨️リクエスト等も受け付けておりますのでお気軽にコメントしてください!
ギャングスタの連載再開されましたね…!
ということで(?)無事ヒーロードに沼ったので勢いで書いてしまいました。当初は同僚以上恋人未満くらいの距離感だったはずが、いつの間にか恋人レベルでいちゃつき始めたので苦手な方ご注意ください…!
以下↓⚠️注意⚠️
※ギャングスタ未読の方はネタバレ多く含むためこの先に進むのは非推奨です。
※ロードの体調不良の描写がございます。
※腐要素が少々あるためご注意ください。
※史実とは一切関係ございません。
※なんでも許せる方のみ進んでください。
ツキンッという鈍い痛みで脳が覚醒する。
「……っぅ…けほっ…」
ズキズキと痛みを主張する喉から乾いた咳が漏れる。起き上がるのすら億劫に感じる体がコンディションの悪さを物語っていた。
「…げほっ…起きなきゃ…」
重い身体をなんとか起こし、布団からはい出る。ゾクゾクと背中に悪寒が走り思わず舌打ちが零れた。
「……くすり…」
グラグラと揺れ動く視界の中、棚から頭痛薬と風邪薬、そして解熱剤を手に取る。箱の裏に書かれている用量より1粒だけ多く口に放り込み、水と一緒に流し込んだ。
「……っはぁ…ふっ…ぅ…」
ソファなんかに座ってしまったら立てなくなることくらいはわかってるので、我慢してクローゼットから服を取り出す。いつもよりフォーマルな服に着替えたあと、今日使う資料にざっと目を通した。薬が効いてきたのか、少し楽になってきた身体にほっと息をつく。しかし、鏡の前に映ったのは真っ赤な顔と虚ろな目をした自分だった。
「…これは…バレる、な…」
そう自嘲気味に呟き、どうしたもんかなと辺りを見回す。自分の演技力には相当自信があるが、この顔だけは演技でどうにかなるものではない。
「…マスク…するか」
マスクをすれば顔の大半は隠れるし、周りに移してしまうリスクも減る。我ながら名案だ。もっとも、あの風邪なんて滅多に引かない体力おばけに移る気がしないが。
「…っ…時間がやべぇっ…」
いつもより動きが遅い分、準備に思ったより時間がかかってしまったようだ。急いで鞄を持ち、家を飛び出した。
「Hey、このヒーローを待たせるなんて最低なんだぞ!」
会議場に到着した瞬間、体力おばけこと1地区のHEROがそう高らかに言い放った。
「仕方ないだろ…電車が遅れてたんだよ」
実際にはぼんやりしていたら乗り過ごしただけなのだが、そんなこと言えるはずないので嘘をつく。
「そんなの言い訳にならないんだぞ!それになんだい、そのマスク。全く似合ってないね!」
DDDと高らかに笑うヒーローに苛立つ。昔はあんなに天使で可愛かったのに!
「似合ってなくて悪かったな!」
そう吐き捨てて会議室へ急ぎ足で向かった。
「〜〜~で、だからこっちの方がいいと思うんだぞ」
ガンガンと殴られるような痛みに顔を顰める。さっきから頭痛が止まらなくて頭は霧がかかったようにぼんやりして思考がまとまらない。
「ロード…?聞いてるのかい?」
いつの間にかヒーローが不思議そうに俺の顔を覗き込んでいて慌てて顔を上げる。
「あっ…えっと……ごめん、聞いてなかった」
「君ってば今日はどうしちゃったんだい!?いくらなんでも注意力が散漫すぎるんだぞ!」
「わっ…わるい…」
「君が素直に謝るなんて気持ち悪いんだぞ…熱でもあるのかい?」
熱、という単語に体がビクリと反応してしまった。それを誤魔化すように急いで反論する。
「ねっ…熱なんてあるわけないだろ!」
「はぁ…とにかくちゃんと聞いておいてくれよ」
そう注意してまたヒーローが1から話し始める。今度は聞き逃さないようにと全身に力を入れるが、ヒーローの声が頭に響いてしんどい。それでも持ち前のポーカーフェイスで何とか会議をこなし、予定通りに終わらせることが出来た。重い身体に鞭を打って椅子から立ち上がる。一刻も早く家に帰ってベットで眠りたかった。…が、その願い虚しく会議室を出ようとしたところで腕を掴まれる。
「ロード、この後空いてないかい?」
「……このあと…?なんでだ?」
「行きたい場所があるんだぞ!もちろん、君の奢りでね!」
「っな、なんで俺のっ…」
「君、遅刻してきたの忘れたのかい?」
今朝の遅刻のことを言われると、さすがに嫌だと言えなかった。ここで断るのは年上としてもメンツが立たない。黙り込んでいると、ヒーローが俺の腕を強く引いた。
「反対意見は認めないんだぞ!」
「……っわ…わかったよ……」
ふわふわと宙を浮くような感覚もそのままに、俺は半ば引きずられるようにして連れていかれた。
会場を出てヒーローが向かったのはタクシー乗り場だった。てっきり歩くことになるかと覚悟を決めていたから面食らう。
「タクシー…のるのか…?」
「今日は疲れたからね…嫌かい?」
「……いや…べつに…」
むしろ有難く思う反面、1度座ってしまったら立てる自信が無かった。そんなことを考えているうちにタクシーが到着する。
「君が先に乗るんだぞ」
ヒーローがタクシーの扉を開けて俺を先に座らせた。いつもNO.1だと口癖のように言っている彼にしてはめずらしい。
「……へ、向かってくれるかい?」
ぼーっとしていると、ヒーローが行き先を伝えたのかゆっくりとタクシーが発進した。
「…っ…はぁっ…ふ…」
やはり座ったのがいけなかったのか、自分の意思とは裏腹に段々隠せなくなってきた。口から熱を持った息が溢れ、マスクの中で渦巻く。じわりと視界がブレて意識が朦朧としてきた。
「……う…っぁ…はぁっ…」
だめだ、このままじゃ…ぐあいがわるいこと、ひーろーにばれちゃう。ねちゃだめだ…ぜったい、おきてなきゃ…だって、いっかいねちゃったら、もう…
「……ロード」
隣から名前を呼ばれた瞬間、目の前を大きな手で覆われる。
「…っ…ひー…ろ…?」
「君、もう呂律回ってないぞ。着いたら起こしてあげるから、少し寝てなよ」
視界を真っ暗にされて、奥の方からとろとろと眠気が襲ってくる。それに抗うように目を開こうと足掻くと、ぽんぽんと頭を撫でられて、もうだめだった。
「Good night」
ヒーローのその言葉を皮切りに俺の意識はプツンと切れた。