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そしてエカテリーナを解放すると同時に立ち上がり、MASTERを見据えた。
彼の白翼がゆっくりと広がると、その度合いに合わせて周囲の大気が歪む。
膨大な魔力が渦巻いている。
「まだ、やれますか」
「…もちろんよ」
私たちは互いに目を合わせ、短く確認した。
そして一歩踏み出す。
この圧倒的な威圧感の前にしてもなお──私たちは戦わなければならない。
…今は全力を尽くすしかない。
そして私たちは再び戦闘態勢に入った。
私とエカテリーナが警戒を強めたその刹那
「挨拶が遅れた」
静寂が切り裂かれた。
MASTERと名乗る男は、指先についたブロンクスの血を舌で舐め取りながら私たちを見下ろした。
その眼差しは冷たく、獲物を品定めする捕食者のそれだ。
「私の名はMASTER。今までお前たちが出会ってきた玩具たちの生みの親だ」
その言葉に、背筋が凍る。
玩具────
その一言で、これまで我々が相手にしてきた者たちが思い出される。
あの狂気じみた笑みを浮かべていたブロンクスも、無惨な姿となったダイキリ。
そして……コロナリータとして玩具に改造されたであろう憎き妹リリィも。
「親……ですって?あんたが、あいつの言ってたMASTER?」
エカテリーナが一歩踏み出し、MASTERを見据える。
「その通りだ、よくぞここまで来た。まあ、ブロンクスは失敗作だったがな」
彼は無造作に言い捨てた。
まるで壊れた人形を捨てるかのような口調で。
「……あなたは、一体何を企んでいるのですか」
私が問いかけると、MASTERは薄く笑った。
その微笑みには狂気とも言うべき何かが潜んでいる。
「企み?そんな不純なものではない。ただ……お前たちには未完成なのだよ。まだまだ足りていない部分がある」
「あんたみたいな奴に判断されることじゃないわよ!」
エカテリーナが激昂するが、私はそれを制した。
ここでの戦闘はリスクが大きい。
「何が不足しているというのでしょう?」
冷静さを装って問う。
MASTERは愉悦混じりの表情で答えた。
「それは君が1番解っているだろう?アルベルト」
「…なにがでしょう」
「自分自身が不足している。にも関わらず、君は突然自我を思い出したようだ、ブロンクスの魔法の影響か」
「…!……それが、なんだと言うのですか」
「理性や感情は不要。ただ破壊することのみを求める純粋な力────それこそが理想の玩具だ」
「君が賢いままアルベルトという器として事務的にいれば容易に操れたところだが…君はもう不要だな」
……ブロンクスの魔法の影響で確かに私の自我は戻りつつある。