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その隙間を突かれてこうも侮辱されるとは───
「私も同じ気持ちです。貴方のような方の玩具になる気は更々ありません」
「そうだろうとも」
彼の羽が大きく広がる。
世界が歪むほどの魔力が放出され、周囲の大気すら震えている。
「だが、隣の女はどうだ?」
その瞬間
エカテリーナの目が見開かれる。
「な……なによこれ!?」
彼女の周囲に複数の見えない鎖が絡まり始めていた。
「彼女はなかなか興味深い素材だった。だが暴走する可能性もある。ちょうどいい……新しい試作品として使わせてもらおう」
瞬間、エカテリーナの体から膨大な魔力が溢れ出した。
私がすぐに彼女に近づこうとしたところで
土の下から這い出てきた人間らしき手に両足を掴まれ、強力な魔力で拘束される。
「無駄だ」
MASTERが軽く指を振る。
「ぁ゛……あ゛っ、あ゛あ゛あ゛っ!!あ゛ぁぁぁぁぁぁぁ゛っ!!っ!」
鎖の拘束力が強まったのか、彼女が苦悶の悲鳴を上げた。
「く……エカテリーナっ!!」
彼女の体が空中に持ち上げられる。
私は土の中から伸びてきた手の魔力で拘束されており、全く身動きが取れなかった。
「やめてください…玩具なら私がなります……っ!!彼女だけは……!」
私の懇願にも耳を貸さず――
「諦めろ」
冷たい声が響く。
「────「絶対王政《アブソリュード・コマンド》」
MASTERがそう口にした、その直後────
エカテリーナの体を覆っていた鎖が一斉に収縮し……
彼女の悲鳴とともに、凄まじい閃光が辺り一面に迸った。
その光景を呆然と眺めるしかなかった。
彼女がどのような末路を迎えるのか想像することさえ憚られる。
「終わりだ」
MASTERの声と共に世界が歪んでいくようだった。
瞬きの間にエカテリーナが地面に落とされた。
地面に叩きつけられたエカテリーナの姿に、思考が停止した。
「エカテリーナ!!」
足首を掴んでいた土の中の手を乱暴に振り払い、私は全力で彼女の元へ駆け寄った。
地面に横たわる彼女の傍らに膝をつき、肩を揺さぶる。
「無事ですか……!起きて、目を覚ましてください……っ!」
必死の呼びかけに、瞼がゆっくりと持ち上がった。漆黒の瞳が私を捉える。
「…っ!」
安堵が込み上げる。彼女は生きていた。
「よかった……何ともありませんか……っ?」
その言葉を口にした刹那
ひやりとした金属の感触が喉元すれすれに触れた。
エカテリーナの右手に握られたナイフの刃が、寸分の狂いもなく私の呼吸を阻む位置にあった。
息が止まる。
理解が追いつかない。
ついさっきまで意識を失っていたはずの彼女が目覚めた瞬間に、仲間であるはずの私に凶器を向けている。