続きでーす
そろそろ別兄貴も出すかな…
どぞ!
数時間前
須永「やっぱり夏祭りはいいねぇ〜」
香月「そうですね!人めっちゃ多いですけど…」
天羽組である須永と香月は、祭りの警備の為に会場内を練り歩いていた。
須永「にしても腹減った…………あん?」
香月「どうしました?」
須永「な〜んか射的の屋台、すげぇ盛り上がってなぁい?」
須永と香月が見た方向には射的の屋台があり、ほかの屋台とは比べ物にならないほどに盛り上がっている。
気になった2人は、観衆の中をくぐり抜けて、屋台の店長の所へ行った。
須永「店長〜、何事?」
香月「すごい盛り上がってますね」
店長「あ、須永さんに香月さん!見てくださいよあの人!今ウチ、景品取れたらもう1発無料キャンペーンやってて…あの人景品全部取ってくんです!」
須永「んんー?」
そして店長が指さした方向を見れば、後ろ姿しか見えないが、正確すぎるコントロールで景品をひとつ残さず打ち倒していく、青と白の浴衣を着た女の姿があった。
カリン「きゃー!上手すぎー!!」
華「ちょ!カリンさん、しー!」
香月「あれ?あの隣の人小林の兄貴の同僚の人じゃ?」
須永「マジじゃねぇか!あの女やるなぁ、何者だぁ?」
須永はケラケラと笑いながら、しれっとスマホのカメラ機能を立ち上げ、動画を撮り始める。
そして暫くそのまま見続けていると、なんとその女は景品全部取り尽くしてしまったのだ。
香月「ま、まじかよ…」
店長「うわぁぁ!これじゃ商売にならないぃ!」
そう言って店長は、その女の元に駆け寄っていく。
女は申し訳なさそうに、ぺこぺこ頭を下げていた。どうやら景品は全部返してくれるそうだ。
店長「いやぁ、ありがとうございます!盛り上げてくれたお礼と、景品返してくれたお礼として、この小さめの銃で当てられた景品1つプレゼント!もちろん無料で!」
女の様子を見ると、申し訳なさそうにしているが、どうやらやる気のようだ。
須永「お、あれ俺らが使ってるチャカとほぼ同じ大きさじゃねぇか。あれで当てられたら殺しの才能あるかもな!」
香月「カタギに対してそんなこと言うのやめてください。あの大きさじゃそうそう当たらな…」
そして女は銃を構え、撃った。
カリン「あー!当たった!」
そして見事に当てて見せたのだ。これには店長も空いた口が塞がらないようである。
須永と香月は、別の意味で硬直していた。
須永「…あの撃ち方と構え、射撃精度にスピード………………あいつに………そっくりじゃねぇ…?」
香月「…そっくりどころじゃ…………まんま俺らが教えた通りですよ……」
この2人は定期的に小峠に銃の指導を行っていた。小峠の銃の腕は、この2人のお陰で上がったといっても過言では無い。
ずっと指導してきたが故に、分かるのだ。
どう構えるのか、どう撃つのか、射撃精度はどのくらいか、どんな癖があるのか、どのくらいのスピードなのか。
だからすぐに分かった。
あの撃ち方は………
須永「っ、!追うぞ!」
香月「はいっ!」
須永「……チッ、見失ったか………」
香月「人が多すぎます……また見つけるのは難しいかと………」
2人が走り続けて息切れしているところに、ちょうど頭上で花火が上がった。
須永「…………………」
香月「…綺麗ですね…」
須永「…あいつもさぁ……見てんのかな、コレ」
香月「………大好きでしたもんね、夏祭り」
そういう香月の目には、今にも零れそうなほどに涙が溜まっていた。
そして須永は、1度だけ自分のスカーフを強く目元に押し付け、なぜかぼやけ続ける目でそのまま花火を見続けた。
あの女が小峠であったと確信を持つのは、まだもう少し先のお話………
須永「…香月くぅん、お墓参り行こっかァ」
香月「…お供しますよ」
to be continued…
コメント
8件
今回も素敵な小説過ぎる😭 次に、もしあるとしたら、かぶちゃんがカリンに誘われてカフェに言った先に須永の兄貴と香月くんが入ってくるか入ってて隣の席に座る…かぶちゃんは汗が止まらない……とか妄想が捗っちゃいます😊