テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
僕だって、彼を支えたかった。
役に立ちたかった。
でも、結局こうして彼に助けられてばかりだ。
その悔しさと愛しさが、ぐちゃぐちゃになって言葉にならない。
「こわがった…っ、きょう、に、拒絶されてるみたいで…っ、ううっ…かなしく…て…っ!」
「でも…こんなっ、めいわ、く…かけちゃ……ううぅ…ごべんなざい…っ」
「違う、違うから。ゆずは何も悪くないから。ごめんね……ゆず、泣かないで……ほんとにごめんね……」
僕は子どものように、彼の胸の中で泣きじゃくった。
卿は僕を壊さないように、けれど決して逃がさないように抱きしめ続け、何度も何度も謝罪を繰り返した。
しばらくして涙が収まった頃、卿は僕の目をまっすぐ見て語りかけた。
「ごめん、俺が悪かった。ゆずがこんなに苦しんでるの気付いてあげられなくて。傷つけること言ってごめんね。これからはちゃんと言うから……家政婦さんとかじゃない。俺はゆず自身が必要だから一緒にいてほしいんだよ」
僕はしゃくり上げながら、何度も、何度も頷いた。
「じゃあ……これからも…一緒にいていいの? 僕」
「当たり前だよ」
その力強い返事に、再び視界が滲む。
今度は、温かい涙だった。
その後、卿が作ってくれた簡単な
けれど温かいスープが、冷え切った体と心を芯から温めてくれた。
◆◇◆◇
夜、ベッドに横たわると、隣から伝わる卿の体温が何よりも愛おしかった。
彼は僕の額に、静かな祈りのようなキスを落とした。
「本当にごめんね。もうあんなふうに悲しませないから。もし何かあったら真っ先に相談する。約束する」
「僕も……ちゃんと話すね。心配すること、辛いこと、全部」
「それと…外出て、迷惑かけてごめんね……怒って、ない?」
「もう……いいんだよ。でも……外は本当に危険だから……次は何があっても俺の許可無しには絶対に出ないでね……心配だから」
「うん……約束する」
絡ませた小指から、互いの想いが溶け合っていく。
僕はもう、一人の静寂を怖がらなくていい。
この「籠」は、僕を閉じ込める場所ではなく、二人で一つの命として生きるための聖域なのだ。
月明かりが部屋を青白く染める中、卿の腕が僕をより深く包み込む。
その腕の力強さは、僕を離したくないという執着そのものだった。
「……ゆず」
耳元で、低く掠れた声が響く。
卿の熱を帯びた声。
その響きだけで、背筋を甘い戦慄が駆け抜けた。
「…なに……?」
「今日は……本当に怖かったんだ。君がいなくなった部屋の冷たさを思い出すだけで、気が狂いそうになる」