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愛しすぎるが故に狂ってしまった愛を持った少女と、男のお話。
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「ねえ、知ってる?ここら辺でイケメンの男の人が消える行方不明事件が起きてるんだって。」
「えー、なにそれ。こわ。イケメン好きなのかな?」
「なんかイケメン狩りしてるって考えたらずるいよね。」
「わかるー。あーあ、イケメンが消えたら私たちの彼氏どうなっちゃうのよ〜w」
「ほんとにそれな?がちイケメンほしい〜」
俺は夢野 現(ゆめの うつつ)だ。こんな名前をしていて男だ。顔は…まあ、悪くないとは思う。ただ、イケメンとは程遠いだろう。
〜〜〜〜〜
「お前…誰だよ。」
奇妙な少女が血だらけで立っていた。
「私はね、煌姫 コハル。煌めく姫ってかいて、あきひめ。」
少女の名は 見た目と違っていて可愛らしいものだった。この少女は、何をしていると言うのだろうか。
「…夜は危ねぇから、帰れ。」
「家無いんだ〜」
彼女は明るく微笑んだ。家が…無い?どんな家庭だよ。貧乏なのか?
「なんで、家がない。」
「お母さんもお父さんも居なくて、お金が払えなくて!」
なんで、親がいないんだ。いない理由を、聞きたくなってしまった。
「なんで居ないんだ?」
彼女は不思議そうな顔をした。そして、天気の話をするかのように、その言葉を口にした。
「え?食べちゃった。」
は?いま、この少女はなんと言った。なんと口にした。…食べた?人間を?親を?母を?父を?
「な…んで…食べたんだ…?」
「なんか、好きだーって思ったら、気づいたら食べちゃってた。」
好きだから?好きだから食べる?だめだ、常軌を超えた答えで頭が痛い。
「好きだから、食ったのか?」
「うん!でもね、美味しかったよ!」
「…そうか。」
もう、言葉も出なかった。何故この少女はこんなに明るいのだ。何故この少女はこんなことをしているのだ。理解を、拒絶してしまった。
「お兄さんこそ、何してるの?」
「ただの散歩だよ。」
散歩のはずだった。…散歩…のはずだったんだ。
なんで、なんでこんなことに。
「じゃあさ、私の秘密基地に案内するから来て!お話しよ?」
…もう、理解も拒絶も諦めてしまった。怖くなった。目の前の少女の異常なほどの明るさが。
「ああ、ついて行くよ。」
ここで拒絶してしまえば、食べられるかもという恐怖で答えてしまった。行きたくは無い。何がいるのか、何が待ってるのか、考えただけだおぞましかった。
少女は俺の手を引いて秘密基地とやらに案内してくれた。
「ここだよ!」
彼女が案内してくれたのは、ボロボロの廃墟のような家だった。彼女は、こんなところに住んでいたのか?
「こんなところ、よく住めるな。」
「でも、空いてる家がここしか無かったもん。」
そうか。子供だから、お金が払えないのか。
それでも家に住みたいのは、ブレないんだな。
恐怖の中でも、何故か感心をしてしまった。
「秘密基地って、何をしてるんだ?」
「見たらわかるよ!」
…見たくない。両親を食べたとしたこの少女に深入りをしたくない。とにかく怖かった。それでも、歩を辞めない。辞めてしまえば、食べられる可能性があったから。
「みて!」
彼女は年相応な、子供の笑顔を浮かべながら死体を見せてきた。色んなイケメンの男の死体。噂通り、イケメンだらけだった。
「なんで、顔がいい男ばっかりなんだ?」
聞きたくなかった。というより、聞いては行けなかった。それでも、口にこぼしてしまった疑問。でも、誰しもがこの状況では、持ってしまうだろう。
「好きになっちゃったから。」
…だろうなともはや安堵してしまった自分がいた。普通は恐怖すべきなんだろう。それでも、両親を食べた含めここまで好きを一貫しているのは、称賛すべきだろう。
「そうか。この人達も好かれて嬉しかったと思うぞ。」
もう、手遅れだ。否定したって、この子は変わらない。この子の普通がこれで固定されてしまったんだ。俺が何を言おうと、もう変わらないことを悟ってしまった。
「そうかな?だったら嬉しいな!」
ああ、この笑顔が可愛らしく見えてきた。好きだから食べる。それはキュートアグレッションを超えたカニバリズムだが、それも彼女なりの愛情なのだと考えたら、悪くないのだと、感覚が麻痺してしまった。
「俺のことは、どうするんだ?」
多分もう手遅れだろう。秘密基地に連れ込むってことは、俺も時期に食われるんだろうなと、悟ってしまった。
「食べたい!」
そりゃそうだろうな。と、フッと笑ってしまった。もう、諦めるしかないだろう。もはや、イケメン扱いしてくれた事に感謝だ。この少女に好かれたまま死ねるのは、いいだろう。
「どう食べてくれるんだ?」
俺はもう、ここに来た時点で狂っていたのかもしれない。
「んー、そのままがいいな?」
「…そのまま?生きてるままってことか?」
は?それは嫌だ。痛いじゃねえか。
「ううん。痛いだろうからね、ちゃんと殺してからにするよ。」
なんで、そこは優しいんだ。いや、もうこの子に常識なんて当てはまらないな。
「そうか、なら、痛くないようにしてくれよ?」
「うん!」
彼女は走って包丁を取りに行ってしまった。痛くないように、なんて、難しい話なのにな。健気な話だ。…怖いな。まだ、死にたくねぇ。
「なあ、こんなこと、俺で終わりにしてくれないか?」
「なんで?」
「俺が最後の男になりたいから。」
「俺が最後の男になりてぇ。最後で、いちばん記憶にのこる男になりてぇから。」
「ふふwお兄さん変な人!でも、わかった!それも、愛…なんだよね?」
ああ、そうだ。これ以上彼女の手を汚したくない。
「そうだ。これも、愛だ。俺を味わって食べてくれ。」
「うん!わかった!約束するね!」
ああ、なんて健気な笑顔なんだ。この笑顔を、最後の俺が独り占めなんて、嬉しくも思う。これが最期か。…悪くない。
そんなふうに思ってしまった。
「一思いにな。痛いのは、俺が嫌いだから。」
「頑張るね!」
なんて、素直な子なんだ。そこで俺の意識はなくなってしまった。多分、殺されたんだろう。
この話はここで終わりだ。