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「………」
「……馬鹿」
第一声はそれだった。
それ“だけ”だった。
「鳥の呼吸 陸の型 水鳥の飛翔」
静かな声で空間を斬る。
そして、刀の先が鬼に触れる。
「お前、感情が無いのか?」
「……」
「母親を殺した相手が見つかったのに」
「……」
空気が重い。
耐えろ……
ここで怒ってはならない。
「そういや、10にも満たない時に鬼を倒したことがあるんだって?」
「……なんでお前なんかが知っている」
低い声で冷たく返す。
「やはり事実なんだな……お前は鬼殺隊の1人の隊士と共に鬼と戦った」
なんでそこまで!
駄目だ……
取り乱すな!
「あの鬼は俺の分身だ。鬼ってやっぱ便利だな」
ああ。
もう無理だ。
もう……
「殺意しか湧かない」
ボソッとそう言うと、すぐさま技を出す。
「鳥の呼吸 肆ノ型……」
刀を静かに振り上げる。
「鳳凰舞いッ!」
放心状態で、鬼に斬りかかるその一瞬。
その名前が蘇ってきた。
嗚呼、そうか。
そうだったんだ。
彼を殺したのは
昌也を殺したのは
コイツだったんだ。