テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「鳥の呼吸 肆ノ型……」
刀を静かに振り上げる。
「鳳凰舞いッ!」
ガッ
刀が鬼の首に触れようとする直前。
「どれほど怒り狂おうと全てが解決するわけではない…」
「覚えておけ……小娘」
低く冷たく、諭すように言うと、上弦の伍・隔世は、スッと手を立てる。
「血鬼術 現刻消!」
その瞬間、隔世を切ったはずの刀は、空を切る。
「……!」
それどころか、自分が立っていた場所が変わっている。
もしや…この鬼の血鬼術…
でもおかしい。
私が分身と戦った時は普通の攻撃しかなかった。
「驚いたか?お前が戦ったのはあくまでも分身。本体と能力は違う」
いつの間にか、後ろから間合いを詰められ、そう言われる。
「ザシュ」
伸ばされた腕を、寸でのところで切る。
そういうことか。
この鬼は時間を巻き戻せる。
分身は倒したけれど、攻撃技もまた使える様になっている…!
あの時あいつの分身が使って他のは、大きな槍。
これは間合いの関係が無くなる。
大変だ。
「ガッ!」
唐突に、重い槍が振り下ろされる。
「っ……」
咄嗟に掴んで止めたけれど。
だめだ。
筋力が持たない。
右腕が使えなくなってしまう。
ここは離れよう。
「ドッ」
右足で槍を蹴り上げ、一気に後ろへ下がる。
「鳥の呼吸 壱ノ型 鴎狩り!」
そして間もない間に一気に切り掛かる。
「ザン!」
隔世が槍を持っていた方の手が、根本から切れて、ゴロンと床に転がる。
鳥の呼吸 壱ノ型 鴎狩り
連撃の鶴舞よりも早く、相手に一直線に斬りかかれる技。
体が軽ければ軽いほど有利。
キョウは今、それを利用したのだ。
「フッ やるじゃねえか小娘!」
隔世の腕はすぐに再生する。
もっと有効な攻撃をしないと。
「鳥の呼吸 参ノ型 鵜飼!」
連撃で斬りかかる。
しかしそこで、刀と槍の撃ち合いになる。
槍を上手く掻い潜っても、また時を巻き戻される。
上弦の伍は、そう容易くなかった。