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そんな訳で全員、今日は寝袋とカバーの二重構造で寝る。
ちなみにマットも、三人は自前の空気が入るタイプ。
彩香さんと先輩は先生が用意した空気が入るタイプ。
僕と先生は銀マットの、いつもより少し厚めのやつだ。
外は秋の終わりの山の上。つまり普通の冬以上に寒いはずだ。
でもストーブがついているせいか、思ったほど寒くならない。
ただ。
「明日使う水は寝袋カバーか、寝袋の中に入れておいて下さいね」
先生からそんな注意が入る。
「出しておくと、見事に凍りますから」
そうなのか。
「そんなに寒さは感じないですね」
美洋さんはそう言うし、僕もそう感じるのだけれど。
「実際はかなり寒いんですよ。ストーブがついているとは言え、ここの小屋は広いですしね。明け方はマイナス10度近くにはなると思います」
そう言われても、実際にはそんなに寒いとは感じない。
確かにゆっくり息をすると白くなるけれど。
「雪山体験の時は、もっと寒いんでしょうね」
「テントは、小屋よりはるかに狭いですし、皆で寝ますから、意外と大丈夫なんですよ。体感温度はこの小屋と同じくらいですね。水が凍らないようにするところも含めて」
自分がいる空間で水が凍るというのは、とんでもない寒さのような気がする。
その寒さの中に多分今もいるのだけれど、その実感はあまりない。
そんな訳で小屋の板の間部分にマットを敷いて、そこに固まってみんなで寝る。
「小さいテントなら、板の間に張って中で寝るなんて方法もありますけれど、うちのテントは大きいですからね」
そういう事もするのか。
確かに空間を仕切れば、その分温かさは逃げない。
そんな事を話しつつ。
いつの間にか、意識は落ちていく。
◇◇◇
案外快適にぐっすり寝て、気がつくと朝だった。
窓の外がもう明るくなり始めている。
なお朝一番に気づいたのは、明るさではない。
重さと、温かさだ。
寒いせいだろうか、皆さん寝袋ごとこっちに寄ってきている。
今回、僕の隣は未亜さんだけれど、もう半ば僕に乗っかっている感じだ。
確かに重なっている部分は、温かく感じる。
でもそれはそれで余計な事を考えてしまうわけで。
乗っかっている部分が、不快ではなく、心地よい重みと温かさとして感じられるからこそ、余計に色々感じる事があるわけで。
そんな訳で、先生が真っ先に起きた後。
モーニング紅茶を淹れて、その香りで皆さんが起き出すまでの間。
僕は動けず、そのままの状態で固まっていたのだった。