ベッドに沈むようにして、目を閉じた。
部屋は静かで、エアコンの低い音と、時折涼太が寝返りを打つ微かな気配だけ。
俺はというと、寝てるようで、寝てない。
意識がふわふわしてるだけで、完全には落ちてなかった。
そんなとき、背中にぴたりと何かが触れる感触があった。
……今日もか。
何も言わずに、そっと背後から腕を回してくる。
いつもの、あの感じ。
静かで、でも一切の迷いがない動き。
眠ったふりをしていれば、いつもみたいに涼太の行動が大胆になってくる。
胸元を撫でる指先はやけにゆっくりで、くすぐったいような、焦らされてるような。
Tシャツ越しでも、どこを狙って触ってきてるのか、はっきりわかる。
――わざとだろ。
でも、嫌じゃない。
むしろ、ちょっと期待してる自分がいるのが腹立たしい。
脚の間に涼太の膝が割り込んでくると、自然と足が開いてしまった。
「……ん」
思わず漏れた声に、自分で驚く。
こいつ、やっぱりそういうの狙ってやってる。
胸を摘まれたときも、下腹部を撫でられたときも、ぞわっと背中を駆け上がるような感覚があって、身体が勝手に反応してしまう。
「……シていい?」
耳元に落ちた声は、低くて甘くて、いつもより少しだけ切実で。
その声に、もう逆らう気もなかった。
「……好きにしろ」
それだけ言うと、涼太の手が遠慮なく動き出す。
キスされて、触れられて、体温が上がっていくたびに、頭の中がぼんやりとして、どこが現実でどこが夢かもわからなくなる。
唇を塞がれて、息が漏れて、それでもなぜか安心している。
――もう、慣れちゃったな。こういうの。
たぶん、今さらやめられるわけがない。
「……わかった。好きにするね?」
暗闇の中で囁かれたその言葉に、うっすらと目を開けて、涼太を見た。
ぼやけた視界の中、どこか優しい目をしてるように見えた。
……ずるいな、ほんと。
けど、俺もずるいから。
何も言わずに、そのまま受け入れる。
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