「お待たせいたしました!」
そこには白馬に乗って、ロングボウを構えているイギリスがいた。趣味で乗馬と弓術を嗜んでいたようだ。彼の放った矢はライヒタングルの右腕に刺さり、うめき声が聞こえた。
「ごめんね、遅れちゃった。僕も到着したよ」
続いてやってきたのはフランスだ。レイピアを突き出しながらライヒタングルの攻撃を掻い潜り、足を刺した。あれだけ歪みあっていたはずの二人が今や戦友である。俺たちはヒーロー二人の登場に歓喜していると、後ろからスイスが走ってきた。
「とりあえず僕の家で作戦会議をしよう。全員集まって」
スイスの家は非常に豪華であった。見るからに高価な絵画や宝飾品が、普通の家ではあり得ない個数で置いてあった。俺たちはリビングと思われる場所に通され、話し合いを始めた。スイスは小さめのホワイトボードとマーカーペンを手に取り、「ライヒタングル討伐作戦」と書いた。
「今の所この状況を知っていそうなのは……」
スイスはホワイトボードに、家に集まった国たちの名前を書いた。
あとは状況を聞いたイタリアとスペイン、フィンランド、ルーマニア、エストニア、ベラルーシ、ロシアも来てくれるらしい。
「次はそれぞれの武器を確認しなきゃいけないね。えっと、イギリスがロングボウでフランスがレイピア」
スイスが名前の横に武器を書き足していった。俺は自分の所持品で武器になりそうなものを探った。一番はチェーンソーだろうか。工作(ちょっと大規模なもの)用に購入していたはずだ。
「俺はチェーンソーで」
「えっと、私は槍斧にします」
「僕は剣かな〜」
「僕はハイネケンとハンマー」
「わたくしは槍を使わせていただきます」
「僕はとりあえず両手メリケンかな」
各々が、使えそうな武器を書き込んでいく。その場にいない人以外のところは埋まった。ちなみにスイスと半同棲状態のリヒテンシュタインは参戦しないそう。理由はスイスが許さないから。
「しっ、皆様静かに」
リヒテンシュタインが口に立てた人差し指を当てる。どうやらライヒタングルの足音が聞こえるらしい。スイス曰く彼女はかなり五感が敏感で繊細で、それをどう生かしたのかは知らないがスイスより稼いでいる、とのこと。
数分して足音は過ぎ去った。流石にこんな山の中は諦めるだろう。
「ただ空に手を出されたら終わりだ。他のメンバーにも来てほしい」
その時ちょうどよくドアベルが鳴った。出てみると、これから参戦するメンバーが勢揃いしたらしい。
武器はイタリアが錨、スペインが蛇腹剣、フィンランドがスナイパーライフル、ルーマニアは武器ではなく吸血、エストニアがスタンガン、ベラルーシが包丁、ロシアが鎌と槌らしい。
「だがこれはソ連に変身しないと使えないんだ」
「え、じゃあやっと兄さんと一つに……♡」
さっそくベラルーシが危ない目になっていた。ロシアは彼女を落ち着かせつつ言った。
「ここにいるメンバー以外の構成国は集めた。さあ、始めようか」
するとロシアは赤い薬を取り出して一気に煽り、叫んだ。
「我が先祖よ、主人は生きている。今ここに甦れ!!」
コメント
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*後で思想の中和するので安心してください