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暫く走って俺が住みかにしているツリーハウスの中に駆け込む。敵にばれては絶対にいけないから、声を堪えて泣き叫んだ。
一頻り泣いて落ち着いた時、兄貴の居る方向 から物音が聞こえた。驚いて、直ぐに一番デッカイ木に登って見てみると、兄貴は寝てて、それをソビエトのドールの、確か、主炎とかいう奴が運んでいた。
「戦勝国のドールの方が治るのが早いってのは 本当だったんだな」
ポツリと俺の口から零れ出た声は、諦めと、絶望と、大きな喪失感を感じで、ただ、悲しそうだった。
兄貴が見えなくなるまで、俺は木の上で見ていた。主炎が兄貴をお姫様抱っこしてるのは少し不思議に思いながら。
兄貴が見えなくなってから、俺はツリーハウスの中に戻った。
部屋のド真ん中に座って隅の方に置いていた短剣を取り出す。兄貴がくれた真っ黒の短剣”ブライ”ニつで一つの短剣だ。
このブライで彼奴、主炎達を殺そうかな。そうしたら、兄貴は助かるんじゃないか。俺の足なら走って反日位でソビエト達の居る所には辿り着けるし。なんて物騒な考えをしている自分に嫌気がした。
ドス黒く染まりそうな俺の心を誰にも気づかれないように隠しながら布団にしてる布に包まって眠りについた。
兄貴が連れ去られたあの日から数日が経った。俺にとってその一日一日が一生分ぐらいには永く思えてしまった。
そんなある日、俺の主が生まれた。秒差で生まれた双子だった。
兄貴と話してたあの、デッカイ館の裏庭で二人の主は生まれた。