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それから茜ちゃんは大きな声で
「また明日!」
と言って、家のある赤元道を走って行った。
私は借りた本をよく見ると、カバーの裏に紙のようなものが見えた。
「家に帰ったから見ようかな。」
そう呟いて、茜ちゃんとは真逆の方向にある青縢通りを急ぎ足でたかたかと自分の家の方に向かった。
**
鍵を持って、鍵穴に入れ、右に回す。
カチャッと音がして、家の隙間から青紫の煙が出てくるような、そんな感じがする。
「ただいま」
「あら…帰って来たのね。早くご飯食べて部屋で勉強してきなさい。」
お母さんの言葉一つ一つが重くのしかかってくる。
「今日はオムライスを食べるね。材料は___」
「…そう、じゃあ早く作って食べなさい。莉央、お母さんを困らせないでね。」
「分かった。」
短く返事をして、冷蔵庫に冷凍していたオムライスをレンジに入れて、ピッとボタンを押した。
気がついたらお母さんは買い物に行っていて、近くにお腹が刺されて綿が出ている熊のぬいぐるみと、ぬいぐるみの綿が少しくっついた包丁が落ちていた。
「お母さんってば、ぬいぐるみ壊したら可哀想。」
そう呟いて、学校から持ち帰った裁縫セットでぬいぐるみのお腹に綿を入れて縫っていく。
**
ピピピ!とレンジから音が鳴る。
お腹を縫ったぬいぐるみをリビングのソファにぽいっと放り投げて、オムライスとスプーンをもって自室に行く。
「茜ちゃんから借りた本、読んでみよ」
オムライスをスプーンですくい、片手で口に運ぶ
しばらく本を読んでいると、【呪い】について書いてあるページにやってきた。折角なので、頭の中で読んでみよう…。
呪いの手順。その一、相手の体の一部をこの本に挟まれている紙に包み、火で燃やす
そのニ、虹が出ている数分の内に、嫌いな奴の似顔絵を13回書く。
その三、似顔絵を火がついていた場所に置いた瞬間に雨が降れば成功。
…何これ、絶対嘘じゃん!
茜ちゃんにこの紙使っていいか、明日聞いてみよう。そう思いながら食べ終わったオムライスをシンクに置いて、お母さんが帰ってくるまで、しばらく待っていたら
「莉央おぉぉぉ!!!!」
まずい、お母さんが怒ってる、秘密基地に隠れないと…まずソファーの隙間のボタンを押して、私しか入れない隙間に入って…扉の鍵をしめる!
「り”ぃぃぃお”ぉぉぉ!!!」
お皿の割れる音がするし、私のランドセルを投げてる音もする。怖いな……みんなのお母さんもこうなのかな?
それから、自分の部屋に続く狭い通路を通って、カタッと少し隙間を開けて周りを見る。
お母さんはずっとリビングにいるみたい。音が出ないようにそーっと出て、布団に入って寝たふりをする。次の瞬間、ガチャガチャ!と扉を開けられる音がする。お母さんが来たのかも。
「…あら、莉央。ここにいたのね」
うっすら目を開けると、いつもは持っていないギラギラと部屋のライトを反射している包丁を持っていた。
声を出さないように、枕に寝返りをうつフリをして顔をうずめる。
ザシュ、と包丁が部屋の壁に刺さる音がした。
「莉央?起きてる?」
「うーん…ふぁ〜、おはよう、お母さん」
わざとらしくあくびをして、お母さんに声をかける。
「あら、寝てたのね。ごめんなさい」
「いいのいいの、あれ?壁に何か刺さってるよ」
「あぁ…さっき強盗が入って来たから追い出したのよ。」
そう言って、壁にある包丁を抜いてキッチンに歩いてる行ったのを見て、ベッドから起き上がり借りた本を本棚に隠す。
「あ、今日は友達と竅崎公園で遊ぶから!」
「分かったわ、門限は守りなさいよ?」
「はーい」
短く返事をして、お気に入りのうさぎのキーホルダーがついたバッグとスリッパ、2日分の洋服を突っ込んだリュック、スマホとモバイル充電と…よし、全部入った〜!そろそろ行こうっと