この作品はいかがでしたか?
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学年一の優等生様には
才能がないらしい。
# prsk夢小説注意
# 魔法学園パロ
⚠キャラ崩壊注意。OC過去出ます
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「ねぇ、白月さん。」
「なに?日野森さん」
「咲希ちゃん、大丈夫かしら。」
「星乃さんが居るとは言え、
咲希ちゃん、辛そうだったわ」
「そうだね…、先天性の病だから少しは
慣れているとは思うけど…」
星乃さんは天馬さんの幼なじみで、
過去に何度もこの状態の
天馬さんを見てきていたらしい。
なので、対応とかも理解している…はず。
本当は血の繋がりがあるお兄さんを
呼べたら良かったんだけど
(万が一の時のため)、
今日は生憎実技のテストの日。
だからお兄さんは呼べない。
「…日野森さん。」
「?なにかしら?」
「少しはおかしいと思わない?」
僕は日野森さんと距離を取り、
両手を合わせた。
「…?何がかしら?」
「あの時天馬さんは一発しか
魔法を打ってなかった。」
「けど、そのたった1発に僕は倒された。」
「…!」
「え…どういう、…?」
「……………………!!!
もしかして、白月さんも」
日野森さんが言い終わる前に、
僕の魔法が発動した。
「『カタストロフィ・クロニクル』」
僕の両手の前に魔法陣が出現し、
日野森さんを攻撃した。
「…白、月さん…?」
腰を落とし、僕を見あげて
そう小さな声でこぼした。
「ごめんね、日野森さん。」
「けど、それは正解だよ。」
「日野森さんは、”白月さんも
天馬さん達と同じ病気を患って
いるんじゃないか”。
そう言おうとしたんだよね。」
僕は日野森さんに近づいて、
目線を合わせるようにしゃがんだ。
「………」
日野森さんは口を噤んだまま、
下を見た。
「ま、僕は天馬さん達兄妹とは
ちょっと違うんだけど…」
「僕が持ってるのは、”後天性”のもの。」
「誰にも言ったことないんだけどね。」
「…屋上行こうか。」
僕は微笑んで手を差し出した。
日野森siten
「…屋上行こうか。」
そう言って私に手を差し出してきた
白月さんは、
目の奥が笑っていなく、
少し恐怖を感じた。
(白月さん、…)
私の右手は白月さんの左手に握られ
使えない。魔法も使えない。
「…屋上の鍵は、っと…」
いつの間にか屋上に着き、
白月さんは屋上の鍵を探していた。
「あ、そういえば雫さんは
芸能科にも入ってたよね。
屋上って使うの?」
「…ええ。週に何回かは使うわ。」
「ふーん、そうなんだ?」
「…っと、開いたよ。」
「……」
私は無言で屋上に入った。
「…ねぇ、日野森さん。」
「僕、さっき”後天性”って言ったよね。」
「…えぇ。」
「それ、どういう意味か分かる?」
僕は少し挑発的に聞いた。
「…どういう…って、咲希ちゃんが持って
いる病気の、後天性じゃないかしら、?」
「んー、…半分正解半分不正解、
ってとこかな」
「半分…?」
「うん。僕が持ってるのはね_」
「後天性魔力不全。」
「…え……」
「あと複数個持ってるけど、
面倒臭いから今はいいかかな。」
「ちょ、ちょっと待って。
白月さんが魔力不全を持ってるって…」
「あーあー、まあそうなるよね…」
実際、僕が中学生の時に
友達に話したら驚かれたし。
「だって、白月さんは成績良くて、実技の
授業でも好成績を残していたでしょう?」
「それなのに、魔力不全って…!」
ありえない、と言いそうな日野森さんの
顔を見て、僕は思わず笑ってしまった。
「んー…どこから話そうかな…」
「…あ、小学校4年生ぐらいからかな」
「小学校、4年生ぐらい…」
「まずひとつ聞くね。
僕って魔力どのぐらいあると思う?」
「白月さんの、魔力の量…」
数分間日野森さんは考え、
そして口を開いた。
「1Lのバケツ3杯分くらいかしら」
「不正解。」
「正解は、ドラム式洗濯機4つ分。」
「分かりやすく言うと、…
んー、8Lぐらいかな。」
「そんなに…」
「…なら、尚更なんで魔力不全に…」
「それにはね、僕の小学校時代の
事が関係してるんだよ。」
「白月さんの小学校時代…」
それを聞いて思い出した。
以前、白月さんが私に話した「白月夜の噂」。
白月さんが児童会長を皆殺し、
もしくは神隠しに遭わせてしまうという
自身の恐ろしい能力について、
話してくれた時のことを。
「僕はとある事件に巻き込まれた。」
「…事件」
事件、という思いもしなかった
ワードに私は少し驚いた。
「まぁ、事件ってより誘拐に近いかな。」
「日野森さんは僕の
噂のことは知ってるよね?」
「えぇ。知っているわ。」
「なら、どうして僕はあんなに強固な
警備がしてある部屋から、
どつやって誘拐されたと思う?」
「…………それは…」
「うーん、じゃあ…ヒント。」
「解放した。」
「…あ。」
「白月さんの能力を…解放した?」
「正解。正確には
解放させられた、だけどね。」
「強制的に…ってことよね。
…まさか、誘拐犯が?」
「そう。僕の情報をどこからか
嗅ぎつけた奴らが僕の力で実験しようと、
僕を誘拐しようとしたんだ。」
「……」
「前にも話した通り
警備はかなり厳しい。」
「けど、奴らは警備員を皆殺しにして、
僕を誘拐した。」
「…この学校の、ってことよね。
そんなに弱かったの?」
「ううん。警備員は強かったよ。当時の僕は
顔に傷ひとつ付けるのも無理だった。」
「じゃあ、どうして」
「奴らは、卑怯にも奇襲を掛けた。」
「かなりの大人数で誘拐を
企んでたんだよね。」
「だから、流石の警備員も負けちゃって。」
「長いこと幽閉されてた僕は、
力の出し方を忘れてた。」
「だから、僕は抵抗という抵抗も
出来ずに誘拐されて、実験台にされた。」
私はあんなに強い白月さんが、と思った。
いつも好成績を収め、
白月さんの通知表はAとSのみで
埋まっているというのを、
噂で耳にしたことがある。
「まだ13にも満たない僕が
誘拐され連れてこられたのは、
アスファルトの冷たい牢屋だった。」
「毎日起きて、気づいたら寝ていた。
そして寝てる間に、いつの間にか
体に傷ができていった。」
「寝てる間に…」
「最初のうちは気づかなかった。
背中とか首の後ろとか、気づきにくい
位置に傷が出来ていたから。」
「でも、ある時から腕にも傷が
できていってた。」
「ある時…?」
「あぁ、僕が13くらい…
だから中一くらいだね。」
「…毎日増える痣や注射針の痕。
毎日不安でしょうがなかった。」
「そして、日に日に増してくる吐き気や
頭痛、腹痛…その時にはもう助けなんて
来ないんだって、希望なんて無いんだって、
心の奥の奥まで絶望してた。」
「…でも、白月さんは今ここに居るわ、」
「うん。救助されたんだよ。」
「確か…11歳の時にされて、14の時に
助けられたから、4年くらい
実験台にされてたんだよね。」
「そして、その4年目の秋と冬の間らへん。」
「だんだん肌寒くなってきて、
けど寒さを凌ぐものは何も無い。」
「あったのは、逃走防止用の鎖と
せめてもの暇潰しの本だけ」
「しかも僕はその時丁度、
風邪を引いてた。」
「風邪…、って、かなり危険じゃない…
それに秋と冬の間らへんってことは…」
「うん。本当に寒くなってくる頃だった。」
「これは後から調べて知ったことだけど、
その年の冬って、かなり寒波が
やばかったらしいんだよね。」
「白月さん…」
「で、その寒波のせいで、僕は
瀕死になるまで追い込まれた。」
「凍死するかと思ったよ。本当に。」
「けど、その時警察が来た。」
「警察…?」
「うん。なんか僕が学園にあまりにも
来ないから、校長が不審に
思ったらしいんだよね。」
「で、学園運営組が独自に色々と
調査を進めてまして…」
「その時に、ようやく僕が
誘拐されたって気づいたらしいんだ。」
「…遅くないかしら?」
「…まぁ、前にも話したと思うけど、
僕の前部屋って別棟にあるからね…」
「当時は警報音も今ほどではないし、
冬の寒さのせいで性能が劣ってたんだ。」
「だから、数年経ったあの時、
やっと僕が誘拐されたことに気づいたんだ」
「…で、僕が学園に復帰したのが、
…えーっと、2、3年前ぐらいだったかな。」
「…高校入学時、」
「そ!運営も馬鹿だよね〜」
白月さんは笑いながら
運営のことを馬鹿していた。
…気持ちは分かるけど
「ま、そんな訳で…」
「自分で言うのもなんだけど、僕って
かなーり複雑な事情を持ってるんだ。」
「あ、みんなには話さないでね。」
「僕も特別扱いされたいって
訳じゃないし、それに…」
「……やっぱいいや。」
「…?」
「じゃ、生徒会室戻ろっか。」
「きっともう皆集まってるだろうし。」
「うん。戻りましょうか。」
「…あ、日野森さん。」
「?」
私はその声に反応してしまった。
「『記憶消去』」
「…え」
杖を構えた白月さんの矛先は、
間違いなく、私の頭だった。
白月さんが唱えると、
私は意識を手放してしまった。
気がつくと、私は屋上の扉の前に居た。
「………………あれ?」
「ん?日野森さん、どうしたの?」
後ろにいた白月さんに問われ、
私は戸惑いながらも答えた。
「あ…いいえ、何も。」
「そっか。なら行こうか。」
白月さんは私の手を引き、屋上から出て
生徒会室へと向かった。
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