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絶賛喧嘩中‥

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絶賛喧嘩中‥

4 - 第4話売られた喧嘩は買わねばならぬ

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2025年04月20日

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太志Side



「‥なぁ、待てよ!」


「‥‥‥‥」


「おいっ!無視ですかー!?」


「‥‥‥‥」


「いやっ、ほんとに、無視かよ!?聞こえてるんだろ?」


「‥‥‥‥」



こりゃ、ダメだ‥。完全にキレてる。


昨日とんでもない所を見られてから一夜明け‥朝食を食べようと移動している道中に祐希とバッタリ出くわす。


昨夜は、祐希が怒って部屋を飛び出したせいで何の説明も出来ていないままだ。誤解を解こうと慌てて呼び止めるが、聞く気が一切ないらしい。

俺を気にすることもなくどんどん先に行ってしまう始末‥。


はぁ‥まじ勘弁して欲しい‥。



大きなため息を吐きながら、それでも食堂へと向かった。









「おっはよー!昨日はごめん!まさか盛り上がってる所に出くわすなんて思わなかったから‥」


「‥‥絶対わざと言ってるでしょ?」


食堂のテーブルに着くと、ニヤケ顔で近寄ってきたのは‥昨夜の不法侵入者の一人‥智君だ。



「あはっ、バレた?笑。まぁ、どういう流れで藍があの状態になってたのか知らないけど‥2人がそんな関係になるわけないもん!ただ‥祐希だけはそうは思ってなさそうだけど‥」


「朝から口も聞いてくれん。あいつ、完全に勘違いしてるし‥」


「凄かったんだぜ、昨日帰ってから。なに話かけてもダメで‥。あれからすぐ、ふて寝してたし。この喧嘩さらに悪くなってるかも。藍の方はどうなんだよ?」


「藍?ああ‥あんな光景見られたからってショックですぐベッドに潜り込んでたよ。誤解とかないとって言うんだけど、今は会えないとかって‥」



「ったく、なんでこう状況が悪くなるんだろうな‥ 」


智君のせいでしょうよ‥と心の中で思わず呟く。あんな時間に部屋に来なければ‥。でも、過ぎたことを言っても仕方ない。

俺の話を聞かないとなると‥ここはやっぱり藍から説明してもらうしかないだろう。






藍は‥あっ、居た。ちょうど飲み物を取る姿を発見し、声を掛ける事にする。幸いな事に周りには誰もいない。



「藍?昨日の事‥ちゃんと祐希に説明しろよ」


「‥‥俺がっすか?」


「俺からだと全然祐希、聞いてくれねぇんだもん。頼むよ、誤解解いてくれないと‥お前も困るだろ?」


「イクのが早いから見せてたって?そんな事言える訳ないっすよ‥恥ずい」


「んな恥ずかしがってる場合じゃ‥」

「‥こんなところでも2人でいるの?」


俺の言葉を遮るように話しかけてきたのは‥不機嫌そうな祐希だった。朝はいくら話かけても無視してたくせに‥。


「なんだよ‥さっきまで無視してたくせに‥藍といるのがそんなに気になる訳?」


「‥水取りに来たんだよ、そこにいると邪魔だから」


手にはグラスを持っている。そりゃ、すまん。と横にズレる‥藍の袖も引っ張りながら‥。その動作を祐希がチラリと見ているのが視界の端に映る。


‥ここに祐希が来たなら‥話せないか‥まぁ、藍とは同じ部屋だ。続きは、後で話そう‥。

そう伝えようと藍の耳元に近づくが‥



「仲良いんだな‥もしかして部屋変わったのもそういう理由も含まれてる?」


「はぁ?お前なに言ってんの?まさか‥本当に疑ってる?藍と俺が何かあるって‥」



「疑うも何も‥昨日の見たら‥誰だって思うだろ」


「だ・か・ら・、昨日の事を説明しようとしてんのにお前が話聞かないからだろうが!何度も話かけてんのに‥そうやって不貞腐れてると本当に藍は離れていくぞ、お前から!」


「ちょっ、太志さん!?声、デカいっす‥」


慌てるように藍が制止するが、なんか俺もムカムカしてきた。それでも周りの事を考え‥少々ボリュームを下げる。まぁ、食堂は賑やかで誰一人こっちを気に留める様子の奴はいないが‥。



「昨日の話なんて聞きたくないよ。あんな状況、黒だろ、どう見ても‥」


「不法侵入しといてよく言えるよな‥」


「‥それは悪かったと思うけど‥俺の恋人だって知ってて手を出すお前も相当だぞ!?」


「だから‥手なんて誰が出したって言うんだよ‥何もしてないよ‥」


「何もしてない?あんな格好だったのに?」


‥ダメだ、こりゃ、拉致があかんわ。誰一人気にしてないとは言え、こんな状況が続けば自ずと皆がそのうち見てくるかもしれない‥



「もういいや、また後にしよ、祐希‥話は後でするから」


「話なんか聞きたくない 」


「‥お前が聞かないと話が進まないんだよ‥っほんと、強情だよなお前って。面倒くせぇ 」


「昨日の話なんか誰が聞きたいと思うわけ?太志も藍が気になるならそう言えばいいのに‥」



「(ブチッ)‥わかった、どうしてもお前がそう思いたいなら思っていればいいよ。ああ、はいはい、わかりました。もう話はしなくていいんだな‥」



祐希の嫉妬なんてよくある事だ。だが、その時の俺には無性に腹の立つ言葉だった。簡単に言えば面倒くさくなったとも言えるが。この無意味な言い合いに‥。


「それじゃあ、藍は俺と仲良くするから‥お前こそ話かけてくんなよ‥」


えっ?と慌てふためく藍の手を掴んで半ば強制的にその場を離れた。





一瞬、祐希の手が藍に伸びるが‥触れさせてなるものかと強引に引っ張ったおかげで、藍はほとんど俺に引きずられる形で食堂を後にする‥。




祐希の声が後ろから聞こえた気がしたが‥構う余裕なんてあるわけがない‥







「い‥痛いっす、太志さん!!」


食堂から出て暫くはハイペースで進むが、途中泣き声のような藍の声に我に返り‥立ち止まる。


「あっ‥ごめん」


「ふぅ‥太志さんも馬鹿力っすね‥っていうか、俺まだ朝食の途中だったんすけど‥」


「‥そりゃすまん‥」


周りが見えていないのは俺もか‥。急に大人げない自分の行動を猛省したくなる。



「太志さんでもあんな風に言うんすね‥なんか、意外」


「あいつとはたまに‥。でも、お前を巻き込んだのは悪かった。ごめん」



「大丈夫っすよ‥でも、祐希さん‥俺らの事そんな風に思うんやろか‥」


「話聞けば誤解だってすぐにわかるのにな‥ああ‥なんか腹立ってきた。なぁ、藍?」


「なんすか?」


「もうここは俺等、仲良くしてみようか? 」


「はっ?それって‥」


「祐希は聞く耳持たないんだもん。それなら、もう俺等の事勘違いさせて‥妬きもち妬かせるだけ妬かせようぜ!」


「‥余計こじれる気がするんやけど‥」


隣の藍はブツブツと呟くがその時の俺にはその考えしか思い浮かばなかった。


祐希をギャフンと言わせてやりたい。

そんな考えで一杯だったから‥




さらに展開が悪くなるとも知らずに‥。

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