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曲鎖 澄(マガサ スミ)
私は取り返しのつかない事をしてしまった。彼の人生を狂わせてしまった。一時の女の淡い恋心は、化け物を産んだんだ。
高校3年、晩夏の頃。まだ、結んでしまう前のはなし。榊夜 梟。真面目なあなたに、恋をした。図書室で勉強中の彼をそっと呼び出し、告白した。今でも覚えている。彼の醜い虫を見る様な目。
「今は勉強に集中したい。ごめん。」
そう淡白に言い、戻ってしまった。それが彼の、最後の本当の姿だ。 家に帰り、私はうずくまり泣いた。唸る声を出し、大粒の雨を降らした。
私は調べこんだ。好きな彼を振り向かせる方法。そして見つける。それはインターネットの奥の奥にあった。「白魔術」いわば呪い。それを試してみた。必要な物は、私の血と彼の写真だけで良かった。藁にもすがる様な足掻きだった。ただ、その呪いは本当に彼に取り憑いた。数日後、私の教室に彼は飛び込んできた。
それからは、毎日幸せだった。付き合ってからは、本当にすべての一瞬が思い出。
大学受験をしてみた。彼も頑張っていた事だから。試しに有名な大学の試験を受けてみた。そしたら、受かってしまった。周りはすごいすごいと褒めてくれた。彼のいない教室で嬉しかったのは初めてだった。
彼は受験に失敗したらしい。私を理科室に呼び出した。あぁ。きっと彼は怒ってる。私のせいで、大学に行けなくなったと。しかし、結果はまるで違く、気持ち悪いものだった。
「僕、就職するよ。君を養う。同じ屋根の下、一緒に暮らしたい。」
あそこまで必死に勉強していた彼の口から出る言葉とは思えなかった。
そこで思い知った。最初に私が惚れていた、真面目な彼は消えたんだと。私が消してしまったんだと。あの呪いで、今ここにいるのは、私が産んでしまった盲目的なだけの彼。もう怖くなって、私は彼を拒絶し部屋を出た。
こんな所で再開してしまったのは、最悪だった。私の呪いがまだ解けていない彼。深夜、部屋に呼び出された。嫌な予感はしていたが、それでも私は行ってしまった。あの頃、あの気持ちは、本物だったのだから…
私は最低な罪をおかしたんだ。彼の私への愛は、まさに呪い。人の人生を呪ってしまった私は、たまに思ってしまう。こんなことしなくたって、恋は叶えれたかもしれない。ごめんね、梟くん。本当、ごめんね。
私はあなたに首を締められた時、思ったの。
「やっと、私を嫌いになったかな…」