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レイが無造作に3人組を撃退した直後。 その様子をじっと見ていた二人の女性が、目を輝かせて駆け寄ってきた。
少女A(剣士)「あ、あの!もう一度お願いします!あたし達と一緒に冒険者登録してください!」
少女B(獣人):「う、うちも……!絶対、強くなる!」
レイは眉間に皺を寄せ、不機嫌そうに二人を睨み返す。
レイ:「……この世界は弱肉強食だ。弱いヤツは平然と死ぬ。俺と一緒にいたら、その分危険も増えるぞ。」
少女A:「は、はい……!それでも、強くなります」
少女B:「うちも……逃げたりしねえ。自分の力で守れるようになる!」
ふぅ、と小さくため息を吐きつつ、レイは肩をすくめた。
レイ:「……別にいいけど、手間かけさせんなよ。足手まといなら即切り捨てるからな」
少女Aと少女B:「はいっ!」
この三人で、ギルドのカウンターへ向かい、新たなパーティとして冒険者登録をすませた。
討伐依頼の選択
掲示板の前で、レイは何気なく依頼書を手に取る。
レイ:「最初は……これだな」
少女A:「え、えぇえ!? S級討伐依頼、グリフォンの群れ……!?」
少女B:「いきなりこれは……無謀だわさ!」
レイ:「チンタラしてたら、いつまでたっても強くなれねぇ。嫌なら、ついてくんな」
少女A:「……でも、ここで逃げたら何も変わらない!私、行きます!」
少女B:「う、うちも!やってやる!」
レイ(小さく口元が歪む):「……ったく、根性だけは認めてやるよ」
長い旅路
三人は馬車も使わず、山道・森・岩場を進む。
少女A:「うわ、ぬかるみだ……!レイさん、そっち危な――きゃっ!!」
レイ(無言で手を伸ばし引き上げる):「トロいな。次は助けねぇぞ」
少女B(肩で息をしながら):「でも、なんかワクワクするわさ……。うち、こういうの初めてで」
少女A:「私も……怖いけど、それ以上に楽しみ!」
レイ(少しだけ微笑を隠し):「しゃべってばかりいないで、周囲警戒しろ」
星空の下、時には野営地で眠り、小川で顔を洗い合い――
三人の距離は、少しずつ近づいていく。
S級討伐、長い戦い
深い森の奥。草木を割って現れたのは、翼を広げた巨大なグリフォンだった。
その背後には、さらに二体のグリフォン。
少女A(剣を構え、震える):「き、来た……本物だ……!」
少女B(牙を食いしばり):「絶対倒す……絶対負けねえ!」
レイ(低く呟く):「下がってろ。最初は俺が引き付ける」
黒煙をまとったレイは、グリフォンの前に立つ。
レイ:「……シャドウ・イグニス!」
黒煙がグリフォンの視界を奪い、一気に動きを鈍らせる。
その隙に少女Aが側面から果敢に斬りかかる。
少女A:「これでも――喰らいなさい!!」
刃は鱗を弾かれたが、かすかに傷を付けた。
獣人の少女は俊敏に森を駆け、後ろから飛びつき、爪で弱点を狙う。
少女B:「うちをなめるなあっ!」
グリフォンの咆哮、鋭い爪、その一撃がレイの魔法障壁でかき消される。
レイ:「まだ終わりじゃねぇ。グロウ・フィスト!」
灼熱の拳がグリフォンの胸元を貫き、叫び声とともに倒れ伏す。
だが一体が倒れても、残り二体は牙をむいて襲い掛かる――
息の長い死闘が続く。血しぶき、擦り傷、何度も限界を越えて三人は立ち向かう。
少女A:「私、もう……倒れそうだけど……絶対、守る!」
少女B:「レイ、絶対死なせねぇ!うちも本気で行く!!」
レイ:「……お前ら、思ったよりやるじゃねぇか」
最後のグリフォンが地に沈むころには、月が高く昇っていた。
夜の焚火と寝床
三人は息を切らしつつ、森の小さな空き地で焚き火を囲んだ。
レイ:「チンタラして傷が増えるのはごめんだ。寝るぞ。明日のために体力回復しとけ」
少女A:「はい……(もじもじしつつ)」
少女B(丸太のように大の字で寝転ぶ):「うちはどこでも寝られるから平気~」
夜が更ける。レイは焚き火を保ちつつ、仲間たちを見ていた。
獣人の少女は寝相が酷い。尻尾や足が勝手に動き、しょっちゅうレイを蹴飛ばす。
レイ(顔をしかめて):「……ったく、こいつ本当に落ち着きがねぇな。誰が寝れって言った?」
それに比べ、剣士の少女は静かに身を丸め、可愛らしい寝顔で寝ていた。
レイ(思わずポツリと):「あいつは、まぁ……寝てる時だけは天使みてぇだな……」
焚き火のぱちぱちという音が、静かな森に響き渡る。
レイは僅かに満たされたような気持ちで夜空を見上げる。
(……悪くねぇな、悪くねぇ。ま、明日も修羅場になるだろうが――)
こうして初めての仲間と、静かで熱い夜を過ごすのだった。