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―――あれから数十日後
受験の後は 特に何も起きず、私は平穏な毎日を暮らしていた。
とにかく、合格することだけを祈る日々。
恐らく 春人も同じ事をしていると思う。
そんな私達は、不安で不安で いつもラインで話し合っていた。
大して話題は無いけど、話していると楽しいしね。
___だけど今日は、私達の運命を変える日だ。
そう、合格発表日………!!
今日というこの日は、私達のこれからの生活も 全て一瞬で変えてしまう。
春人も私も 不安で仕方なく、出来るだけ受験内容のラインは控えていた。
だけど今日は、流石に話し合わなくては… と感じていた。
「春人ーーーー!おはよ〜」
「っはよ。」
「今日は、ね… あれが。」
「合格発表?」
「うん…… 確かネットで見るんだよね?」
「そーだけど。掲示板より楽で良いよn。緊張するら。」
「あー春人!めっちゃ打ち間違えてんじゃん!めっちゃ緊張してんね。」
「そりゃするだろ!七葉は とうとう心臓破裂するんじゃないのか?」
「うん、する…」
どうやら春人も緊張しているらしい。
受験よりも合格発表の方が緊張するんだ…
私は正直、試験を受ける時の方がよっぽど緊張した。13
しかもネットだし、感情が薄れる部分もある。
大事なのは、春人と同じ方向に進めたかどうか、だ。
仮に不合格だったとしても、春人も同じなら大歓迎。
どちらかだけが合格、なんて事さえ無ければ 全然良し!
私は、今もこんな感情で居た。
―――そして結果が発表されるのは、午前9時30分から。
今は午前9時17分だから、もうまもなく結果が分かってしまうのだ。
そう思うと、さっきまでの軽い気持ちはどこへ行ったのやら、またまた心臓が破裂しそうな緊張に見舞われた。
どうしよう、合格しなかったら……っ
春人さえも居ないなんて嫌だよ……っ
私は急な感情変化で、ラインの更新スピードが急激に早くなってしまった。
「ヤバい、緊張してきた。」
「どうしよ、合格しないかも…」
「春人は緊張しtnあいの?」
「大丈夫かな、ふあんすぎる」
私も、さっきの春人みたいに打ち間違いが多発した。
そんな私に、春人はからかいのメッセージを送ってきた。
「七葉みたいなお馬鹿さんだったら、合格しないかもな〜!俺とは違ってーw」
「うるさいなぁ、そういうあんたも馬鹿じゃんか!」
「www」
「怒るよ?許せん。」
「www」
何を送っても笑いしか返ってこない春人に白けて、私は時計を確認した。
そこには、AM9:32 という文字が大きく映っていた。
「!ヤバいヤバい…、」
私は急いでラインをまた開けて、春人にメッセージを送る。
「ねぇ、30分過ぎてる!同じ時刻に確認しよう。」
「りょ。じゃ、35分に確認な?」
「うん。今34分だよ。」
「おけ。サイト開け。」
「開いてる。ログイン済み。」
「俺もだ。はい、せーのーで!」
その春人の合図で、私はサイトを開いた。
そこには、たった6文字が映っていた。
「!!ご、ご、ご…… 合格だっ………!!!!!!!!!」
私は、緑宝石高等学校に入れるの……?
嬉しい、嬉しすぎる…っ!!
これまでずっと入りたいと思っていたこの高校。
私は、ここに入るためだけに ずっと粘って頑張っていた。
それは春人も同じで、人一倍努力をしている所を ずっとそばで見てきた。
その努力が報われる時、それが……
この合格発表だ。
お互い頑張ってきた軌跡が、努力が、全て水の泡になる?
そんな訳は無い。
絶対出来ると信じていたんだから、二人で…
達成してみせる!!
私は恐る恐るラインを開き、春人の所を開いた。
春人からはまだメッセージが来ておらず、私から送ることにした。
「私の結果、言おうか?」
そう送ると、1秒も経たない内に 既読がついた。
今メッセージを送ろうとしていたのかも知れない。
すると案の定、速攻でメッセージが届いた。
「言って。」
私はすぐにこう返信する。
「合格っっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「マジか…」
「え」
春人の反応からして、もしや…
嫌な予感が背中に走った時、春人からのメッセージは届いた。
「俺は、合格じゃないことないことないことなかった。」
「え、どっち?分かんない。そんなややこしいの送らないでよ…」
「合格じゃないことなかったって事。」
「それって…… 合格ってこと?」
「そー!ごーかくだった!!」
「やったああああっっっっっっ!!!!二人して合格じゃん!やった、一緒の高校行けるっっ!!」
「だな!頑張った甲斐あったな!!」
「うんっ!雨垂れ石を穿つ、って感じ!!」
「そんな長いこと努力してないだろw」
「それはそうw でも、とりあえず安心だね!!良かった……」
「だな!今日は神にも感謝しないとだな!」
「めっちゃ感謝しなきゃね!」
「おう!」
という感じで、私達は合格という最高の結果を手にした。
夢見心地のはずだけど、喉に何かが引っかかる感触がする。
何かしたっけ、私……
「あ…(健人くん……)」
そうだ、健人くんが居たんだ。
同じ高校じゃ無いなら、一生会えないよね…
一生会えない、一生会わさせてくれない……
「うっ……、、、、」
そう思うと急に、とてつもなく苦しくなる。
もう区切りはついたはずなのに……っ
どうして苦しくなるの……??
あれで最後っていうのが嫌だから?
でも、あんな最低な奴、放って置けば良いじゃん!
罪悪感?なんで私が悪いの!
おかしいよ、私…
考えていることと感情が一致しなくて、私の脳はパニックを起こしていた。
せっかく舞い上がれる日なのに……っ
こんな事、考えなければ良かった。
―――私は何とか気持ちを切り替え、高校に入っても安心できるように 勉学に励むことにした……
この休みが終われば、もう高校生活が始まる。
いつまでも“過去に囚われて”はいけない。
前健人くんに言われた言葉をもう一度思い出して、いつか仕返しして見せる と、心の中の怒りの炎が黒く渦巻いた。