第2話【自分の意思で】
俺はそれからナチとイタ王と過ごすことになった。
居心地がいい。悪いことなんて1度もなかった。
ナチ「日帝は何で実験体として生まれたんだ?」
ある日突然ナチは俺に聞いた。
日帝「、、、わからないんだ。俺の生まれた意味が、、、」
ナチ「大丈夫だ。日帝。お前には絶対に『生まれた意味』っていうものがあるから」
俺が苦しい表情で言うとナチはすぐ心配して優しい言葉をかけてくれる。
日帝「ありがとう、、、ナチ」
そんな優しいナチ。
いつも俺に寄り添っていてくれた。
心強かった。
俺がナチとイタ王と過ごし始めて3ヶ月が経った頃、、、
イタ王「日帝!日帝ー!!!」
そうやってイタ王に起こされたのは夜中の3時だった。
日帝「こんな時間に、、何だよ」
イタ王はよく見ると涙目だった。
俺は焦ってイタ王に聞く。
日帝「何か、、、あったのか、、、!?」
イタ王「ナチが、、、誘拐された」
イタ王は小声でそう言うと涙を流した。
日帝「ナチが、、、!?」
俺は少し考えた。そのあとすぐ決断した。
日帝「イタ王。ナチを助けに行こう」
イタ王「え、、、でも、、!」
日帝「『でも』じゃない!いいから行くんだ!ナチを、、、助けないと、、、」
イタ王「そうだよね、、、うん。行こう!」
そして俺達はすぐさま色々なところを探しに行った。
ナチは家の近くの倉庫に縛られていた。
日帝「ナチ、、、!!!」
イタ王「だ、大丈夫!?」
ナチ「日帝、、、イタ王、、、」
誘拐犯「何をしているんだ?」
日帝「ちっ、、、!」
イタ王「お前か、、?ナチを誘拐したのは、、」
誘拐犯「ああ。金目的でな」
誘拐犯は不気味な笑みを浮かべている。
ナチ「日帝!イタ王!逃げろ!!!」
イタ王「そんなこと言われたって、、」
日帝「ナチのこと見捨てて、、!帰れるかッッッ!!」
ナチ「日帝、、、」
俺は気付いたら誘拐犯の方に走っていた。
そして誘拐犯を全力で押し倒した。
日帝「はぁ、、はぁ、、 ナチ!逃げるぞ!」
見ると、イタ王がナチの拘束をといていた。
日帝「逃げるぞ!ナチ!」
俺はナチに手を貸した。
ナチも俺の手を掴む。
俺はナチやイタ王の助けになりたかった。
どうしても。恩返しがしたかったのだ。
だから今、誘拐犯を押し倒したとき、恐怖も何も感じなかった。
ただ、心の奥でずっとナチを助けたいと思っていた。
ナチ「日帝、、、イタ王、、、」
家に着くと、ナチが悲しい顔をして言う。
ナチ「正直恐怖だった。けれど、、2人が助けてくれたお陰で今俺は生きてる。ありがとう」
ナチは頭を下げた。
日帝「ナチは、、大袈裟だな」
気付いたら俺は本音を言っていた。
日帝「仲間を助けるのは、、当たり前だから」
自分で言っていて、自分でもそう思った。
ナチは俺の大切な『仲間』なんだから。
イタ王「ナチのこと、、すごい心配してたんだよ!僕も、、日帝も、、、だから。今度はどこにも行かないでよッッッ!?」
泣きそうな顔でイタ王が言った。
ナチ「あぁ。どこにも行かない。お前達の前から消えない。約束する」
ナチはどこか安心していたみたいだった。
ナチが安心したのなら俺も満足だった。
この時間が一生続けばいい。
正直にそう思った。
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