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「災難だったね、、、ってそんな崇めるような目で見つめるのはやめてくれないかい?」
「命の恩人なんで!!!!」
「さっきの状況を考えれば否定はできないけれど、、、にしても本当に酷い、、、あの方はこの状況まで見込んで君に術を仕掛けたんだろうなぁ」
「まさか最初にナギに俺が酒持ってることを教えた時から?」
「あの方ならそこまで計算しててもおかしくないかな」
- 老獪って範疇に収まらないな、、、
「助け船を前もって示していた、っていう風にも捉えられるのが厄介だよね」
「ナギも言ってましたけど、榊さんも心読めます!?!?」
「いやなんとなくだよ、、、ナギと関わってきた影響とも言えるかな、、、そうじゃないと扱いきれなくてね、、、」
「ご苦労さまです、、、」
「そういえばいつから聞いていたんだい?」
「割と初めから、、、」
- 申し訳ありません、、、
「じゃあナギの正体も、、、」
「それは妙にノイズ入ってて聞こえませんでしたよ?」
「え?千葉くんもっと詳しく教えてくれないかい?」
「そのままの意味です。榊さんとナギの言葉が一部、ノイズ入ってて上手く聞き取れませんでした。これもナギにかけられた制限ですよね?」
「いや、対価については説明したもの以外は加えられないはず、、、ごめん千葉くん。ちょっと調べさせてもらうよ」
榊さんが俺の肩に触れて目を閉じる。
「わかった。これはきっと鬼海さんがかけた術だね、、、さっきの気配を遮断する術はもう消えてるけどこれは残ってる、、、なにか異変とかはないかな?」
「いや、とくには、、、」
ナギの契約とは違いなんの違和感もない。
- ん?違うな、、、
“もうない”って言葉が正しい。去り際に何かされた纏わりつく感覚は、いつのまにか消えている。たぶんナギにバレたあたりだと思うけど、、、榊さんの言う“別の”はまったく感じられない。
「ほんとに大丈夫かい?」
「問題無さそうです」
「ねね!!千葉!!それってつまり!私の正体については聞いてないってことだよね!これからも聞こえないってことだよね!?」
さっきまで酒を飲んでたナギが急に近づいてきた。さっきのアレ、照れ以外にも“この事情”あったな。だからあんな暴走してたのか、、、
- でもそれ忘れるほど酒が大事か?
- その場の気分で生きてやがんなコイツ
「チバーくん!人生そういうのも大事だよ!」
「やっぱお前さっきは単純に羞恥で暴走してたろ、、、」
さっきの見当違いだわ。絶対に今さっき気づいてた。変なとこ思慮深さがない、、、
「ナギ。千葉くん。そろそろ座って話さないかい?」
「「あ」」
俺たちはカウンターに座った。
「千葉くん。ナギは嫌がるだろうが、鬼海さんに施された術を解こうか?あの方はなんでもありだから下手したら呪いに近い類いのものかもしれないよ」
「えーー!!いいじゃん!このままでも問題ないと思うよ!!」
「根拠なく言うんじゃない!ナギ!」
「えーっと、、、」
まぁ悪いものじゃない気はする、、、そもそもナギの失言で俺に痛みが来る可能性があるからな、、、でもこれがあれば減らないか?そう考えれば、、、
- 俺にとっても悪くない?
「千葉もそう思う?鬼海にしては気が効くよな!!」
「千葉くん?」
「いや、損得で考えたら、、、あはは」
「まったくもう、、、わかった!でも何かあったらすぐ相談してね」
「あ!じゃあ!さっきのことは許してないので、、、そうだ!ここって呪いとか請け負ってませんか?」
「ナギと同じこと考えるね君、、、」
「心外です。って思ったんですがこれは人類共通の感情じゃないですか?」
「ははは、、、」
榊さんは苦笑いを浮かべながら視線を逸らした。
俺はその先を目で追った。
すると入り口付近に黒い砂みたいなものが、異様な雰囲気を放ってる。
「なんですかこれ?」
「ナギが鬼海さんが来ないようにと塩を撒いたんだよ」
塩ってこんな黒かったか??
- まてよ、、、これ使えないか?
「ナギ!これを瓶に詰めてあの病院に撒いてくのはどうだ?」
「チバ!!お前天才か!?!?」
「やめなさい!!!!」
ナギが肩を組んで、強く同意してきた。
榊さんには止められたが、俺は名案だと思ってる。
- あとでこっそりやろう
「わいも手伝う」
ナギが小声で言ってきた。俺は無言で頷く。
「だからやめなさい二人とも!普通のお客さんに迷惑でしょう!!」
「「あ」」
またナギと声が合った。
そして二人して笑った。
榊さんはため息をついてたが、それがまた面白く思えてしまった。
「チバー飲もうぜ!」
「いいぞ!榊さんもどうですか?」
「さっき考えてたことを実行に移さないって約束してくれるなら」
「わかりました!」/「はーい」
榊さんがため息をつく。でも今度は笑いながらだった。
そしてお猪口を二つ取り出してカウンターに置いてくれた。二つとも絵柄は違うが、三毛猫が描かれている。
- ツチノコのはナギのお気に入りか
なんて思ってたらナギがすかさず酒を注ぐ。
えらく堂に入った動きで。
- ほんと生粋の酒飲みだなコイツ
それのおかげで命拾いしたわけだし、まぁいいか。
俺と榊さんは、なみなみと酒が注がれたお猪口を慎重に手に取った。
それを見たナギが声高らかに音頭をとる。
「さぁさ!皆様!この杯を!盃を!夜空に向けて掲げてくだしゃんせ!溢れないよう気をつけてね!あとお猪口だとか空が見えないとかまぁ細かいことは気にせずに!!!」
豪快な物言いに俺も榊さんも、笑いながらお猪口を軽く掲げた。
「今宵の出会いを祝して!成された契約がこの先の幸せに繋がると願って!!でも今めいっぱい楽しいからそれも含めて!!さぁ!!乾杯!!!」
「「乾杯!!」」
コツンっ。
無理せずとも息が合い、三つのお猪口が軽く突き合わされた。
そして文字通り“杯を乾す”。
そしてグイッと酒を開いた喉に注ぎ込んだ。
脳が蕩けて、胃が熱くなる。
同時に肺も?違う、心臓。
心臓が、その奥が、優しく温まった。
- 今日の酒はいつもより美味いな
コメント
1件
わ〜第19話読了したよ!もうね、今回のエピソードめっちゃアツくて胸がじーんってなった😭💕 ナギと千葉のコンビネーション、どんどん良くなってるよね!「塩を撒く」作戦を小声で「わいも手伝う」って言い合うとことか、なにこの息ぴったりな感じ!?しかも榊さんの「やめなさい」がツボすぎて笑ったwww でも最後の乾杯シーンは本当にエモかった🍶💫 三つの猪口がコツンって合わさる描写、心臓の奥が優しく温まった感じ、そして「今日の酒はいつもより美味い」…もう言葉にできないくらい沁みたよ。 この雰囲気、ずっと続いてほしい!城異羽大さんの世界観、もっと深く潜りたいです…次話も楽しみにしてるね🌸✨