テラーノベル
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「……ん、お疲れ」
深夜、深澤辰哉の自宅。
仕事終わりに二人で飲み直そうとやって来たものの、缶ビールを一本空けたところで、阿部亮平の動きが止まっていた。
ソファに座り、ローテーブルの片付けをしようと手を伸ばしたまま、フリーズしている。
「あ、ごめんふっか。……俺、片付けるね」
「いいよ、置いとけって」
深澤はスマホをいじりながら、視線だけを阿部に向けた。
「お前さ、俺ん家でまで『イイ子』演じなくていいんだけど」
「演じてないよ。習慣だよ」
「嘘つけ。……目が笑ってねーぞ」
深澤がスマホを放り出し、阿部の手首を掴んだ。
強引ではないが、有無を言わせない力加減。そのままグイッと引き寄せると、阿部はバランスを崩して深澤の胸に倒れ込んだ。
「……わっ! ちょ、ふっか!?」
「捕まえた」
深澤は悪戯っぽく笑うと、阿部の腰に腕を回し、ソファの上で逃げられないように抱き込んだ。
阿部の整えられた髪が、深澤のパーカーに触れて少し乱れる。
「……同期の前でくらい、スイッチ切れよ。……見てて疲れる」
「……ふっかは、見抜くのが早いなぁ」
「何年一緒にいると思ってんだよ。……お前の『あざとい』も『計算』も、全部お見通しだわ」
深澤の手が、阿部の背中をゆっくりと撫でる。
その手つきは、いやらしいというよりは、どこか安心させるような、昔から知っている温かさだ。
阿部は観念したように息を吐き、深澤の肩に額を押し付けた。
「……敵わないなぁ、ふっかには」
「だろ? ……もっと頼れよ」
深澤が阿部の顎をすくい上げ、至近距離で見つめる。
普段は三枚目を演じている深澤だが、こういう時に見せる表情は、悔しいほど色気がある。
「……亮平」
急に下の名前で呼ばれ、阿部の肩がピクリと跳ねた。
「……な、に……」
「お前がどんだけ頭良くて、計算高くてもさ。……俺の手のひらの上だってこと、忘れんなよ?」
「……っ、」
耳元で囁かれる、余裕たっぷりの独占欲。
阿部が反論しようと口を開いた瞬間、深澤がその唇を塞いだ。
長く、深い、大人のキス。
阿部の思考回路が真っ白になり、計算なんてどうでもよくなる。
「……んっ……、ふっか……」
「……可愛い顔すんなよ。……理性が飛ぶだろ」
唇を離した深澤が、とろんとした阿部を見てニヤリと笑う。
「……今日は帰さないからな。……同期の特権、フルに使わせてもらうわ」
「……ふふ。……お手柔らかにお願いします」
阿部が照れながらも身を委ねると、深澤は満足そうに再び抱き寄せた。
一番古い付き合いの二人が織りなす夜は、計算も理屈もいらない、ただひたすらに甘く、心地よい時間が流れていくのだった。
next…ラウあべ 1/13
コメント
4件
🔞ありでお願いします
これの続きって書けますか? 全部のお話が終わったあとでもいいので、書いてくれたら嬉しいです!