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「あれ、おかしいな……」
わたしは旅行が趣味だ。それも有名な場所ではなく、気ままに、行先も決めずに旅をすることが多い。そうなると失敗することも多いのだが、まあそれも旅の醍醐味だと思っている。
けれど、今回は途中で車の調子が悪くなった。近くには山があるばかり、こんな場所で車がつかえなくなったら……と、不安に思っていたら、運のいいことに、遠くに村のようなものが見えた。あそこまでいったら、助けてもらえるかも……。
「すみません、あの、助けてください」
村の入口に立っていた男性に声をかける。男性はわたしを見るなり、驚いた顔をした。
「あんた……こんな時期にこの村に来るなんて、運がいいね」
「えっ?」
「今ちょうど村で祭りをやっていてね……。で、どうしたのかね? 何の助けが必要かな?」
「あ、はい、車の調子が悪くて……」
「どれ……、ああ、こりゃいかん、タイヤがパンクしているな。スペアタイヤはあるかね?」
「ああっと、確かトランクの中にあったかと」
「そうか、それじゃあわしらでタイヤを交換してやるから、あんたは祭りでも見学するといい」
「ありがとうございます!」
わたしは男性に何度も頭を下げ、そして村の中に入る。村の中は祭りの飾りつけで彩られ、いたるところで楽しそうな声が響いている。うーん、こんな雰囲気もいいな。トラブルでよった村だけど、逆によかったかもしれない。それにしても、なんの祭りなんだろう? 季節の祭りにしては、中途半端な時期な気がするけど、そうでもないのかな?
「すいませーん」
「おや、珍しいね、外の人がこの祭りに来るなんて。それで、何か用かい?」
「あ、ちょっと、この祭りってなんの祭りなのか聞きたくて……」
「ああ、これはね、猿神様の祭りだよ」
「猿神……?」
「そう、猿神様に供物を捧げる祭りでね。まあ、村の真ん中にある舞台を見れば、どんな祭りかよく分かると思うよ」
「そうですか、ありがとうございます」
わたしは男性にお礼を言って別れると、村の中央の広場まで行く。そこには大きな舞台があり、そして……。
「え……?」
舞台の上には、裸の女の子がいた。年齢はわたしより少し下くらいだろうか? その女の子は縄で縛られて身動きができないようにされている。
「さあ、猿神様。存分に供物をお召し上がりください」(続く)