夜は、静かすぎた。
家の中に音がないと、
頭の中の声だけが、大きくなる。
ベッドに座っても、
横になっても、
落ち着く場所がない。
(……なんで)
理由は、もう分かっているのに、
問いだけが残る。
今日は、声を出してしまった。
言い返してしまった。
泣いてしまった。
それだけで、
「間違えた側」になった。
(……やっぱり)
(俺が悪い)
体が、じっとしていられない。
指先が、微かに震える。
呼吸が、浅くなる。
何かを考えようとすると、
全部、同じところに戻ってくる。
学校。
家。
視線。
声。
「いらない」
「消えろ」
「使えない」
頭の中で、
勝手に再生される。
(……もし)
(ここにいなかったら)
その先は、
考えないようにする。
考えたら、
戻れなくなる気がした。
天井を見つめる。
白いはずなのに、
やけに重い。
(……必要とされるまでに)
(俺は、どれだけ――)
途中で、思考が止まる。
答えが、怖かった。
胸の奥が、ぎゅっと縮む。
誰かに呼ばれたい。
でも、呼ばれたら、
期待してしまう。
期待して、
裏切られるのが、いちばん痛い。
(……だったら)
(最初から、何も感じなければ)
そう思うのに、
心は、言うことを聞かない。
目を閉じると、
みことの声が、浮かんだ。
「関係ない」
短い言葉。
否定じゃなくて、
切り離すみたいな言い方。
(……関係、あるよ)
心の中で、そう返す。
(俺が弱いから)
(俺が、必要じゃないから)
それでも、
その声が浮かぶたび、
胸の奥が、少しだけ揺れる。
眠れないまま、
夜は、ゆっくり過ぎていく。
何かをしてしまいそうで、
でも、何もしないまま。
ただ、
「ここにいるのが苦しい」
その感覚だけが、
ずっと、消えなかった。
朝。
目が覚めても、
体が、重い。
制服を着る手が、止まる。
鏡に映る自分が、
少し、遠く感じた。
(……今日は)
(ちゃんと、行けるかな)
答えは、出ない。
ただ一つ、
はっきりしていたのは――
心が、ほとんど閉じかけている
ということだけだった。
せんしてぃぶってなあに






