テラーノベル
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霊貴はゆっくりと朝陽の前に立ち、穏やかな声で口を開く。
「では浦添朝陽さん。これより霊視を
始めさせていただきます。よろしいですね?」
朝陽は緊張した面持ちで頷く。
「は、はい・・お願いします・・・」
霊貴は両手で朝陽の手を優しく包み込むように握った。
その様子を、信愛は食い入るような眼差しで見つめている。
しばらく沈黙が流れた後、霊貴はゆっくりと目を閉じたまま語り始めた。
「浦添朝陽さん・・貴方は16歳の高校生
でありながら、その人生は波乱だった様ですね」
朝陽は思わず身を乗り出す。
「わ、分かるんですか?」
霊貴は静かに頷く。
「ええ・・・もちろんです」
一呼吸置き、さらに言葉を続けた。
「実の母に虐待されていたようですね
随分とお辛い経験をされたようで」
朝陽は何も答えず、ただ俯く。
霊貴はなおも語り続ける。
「それからしばらくは叔母に
引き取られていたそうですね?」
しかし朝陽は依然として沈黙を貫いた。
その反応を不思議そうに見た霊貴が首を傾げる。
「浦添さん?」
朝陽はゆっくりと顔を上げた。
「本当に母が僕を虐待していたんですか?」
「ん?と言うと?」
霊貴が問い返すと、朝陽は静かな口調のまま続ける。
「幼少期の僕はどんな感じでしたか?
亡くなった父に聞いてみてください」
その言葉に、霊貴は一瞬も間を置かず答えた。
「浦添さんは、それはそれは大人しくて
礼儀正しかった・・そうおっしゃってますよ」
朝陽は眉一つ動かさず聞き返す。
「大人しくて?」
さらに問いを重ねる。
「本当に父がそう言っているんですか?」
霊貴は自信ありげに微笑んだ。
「ええ・・冥府の王の力に嘘はありません」
朝陽は静かに首を横へ振る。
「それは・・ちょっとおかしいですね」
「ん?おかしい?」
霊貴の表情にわずかな戸惑いが浮かぶ。
朝陽は真っ直ぐ冥孤を見据えた。
「なぜ父はそんな嘘を?」
「嘘?」
「霊貴冥孤さん」
朝陽の声色が変わる。
「貴方が本当に父の声を代弁してるんなら
なぜ父は僕の癇癪について何も知らないんですか?」
霊貴は眉をひそめる。
「癇癪?」
朝陽は静かに語り始めた。
「幼少期の僕は癇癪がとにかく酷かったんですよ
気に入らない事があれば泣き叫んで暴れ回ってた」
霊視の間は水を打ったように静まり返る。
「その時にテーブルやタンスに
腕や足をぶつけてたんです」
朝陽は自分の腕へ視線を落とした。
「それに目をつけた叔母が警察に嘘の通報をしたんです
『あの家で母親が子供を虐待してる』って」
そして、会場中に聞こえるようにはっきりと言い切る。
「だからお母さんは、僕を
虐待していた訳じゃないんですよ
それなのに何でお父さんは
それを知らなかったんですか?」
そして静かに言葉を添えた。
「今聞いてみてください」
霊貴は一瞬だけ言葉を詰まらせる。
やがて咳払いを一つすると、申し訳なさそうな表情を作った。
「申し訳ありませんが、死者との交信は
1日の時間が決まっておりまして・・・
もうその時間が経過してしまいました」
朝陽は目を細める。
「ちょ、そんな都合よく──」
しかし霊貴はその言葉を遮るように営業用の笑みを浮かべた。
「またのご利用をお待ちしております」
「ちょっと!!逃げるんですか!?」
朝陽の鋭い声が霊視の間に響く。
だが霊貴は振り返ることなく、その場を立ち去ろうとした。
その様子を見ていた信愛は、小さく息を吐く。
「やっぱり来たね」
茜は呆れたように肩をすくめた。
「うん!そんな都合よく時間切れになるかっつーの!」
さくらは真剣な眼差しで信愛を見る。
「これは奥の手を使う時が来たって感じ」
焔垂もすぐに頷いた。
「白縫さん!頼む!」
信愛は静かに目を閉じる。
「うん・・・わかった」
胸にそっと右手を当てると、ゆっくりと深呼吸した。
(佳苗・・・お願い)
信愛は心の中で静かにその名を呼び、眠れる力へと語りかけた。
コメント
1件
×××さん、こんばんは、みぅです🤍 今回のエピソード、めっちゃゾクゾクしました……! 朝陽くんが霊貴の嘘を暴くシーン、静かで冷めた口調なのに圧がすごくて。あんなに平然と「父は知らないんですか?」って言い返せるのが、この子の強さというか哀しさというか。それにしても霊貴、時間切れって……都合よすぎるでしょ(笑)。でも最後の信愛さんの「佳苗…お願い」ってところ、何か来そうで怖いけど楽しみです🌙
#普通
野々さくら
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ありあ
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