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#短編
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#時が流れる絵
柘榴とAI

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ひとつだけ残った単語
一覧を開くと、
他はもう並んでいない。
指で送る必要もなく、
画面の中央に、
ひとつだけ表示されている。
椅子に腰を下ろし、
背中を深く預ける。
茶色のニットは体に沿い、
袖は指の付け根で止まっている。
ズボンは柔らかく、
膝の形をそのまま残している。
髪はそのまま下ろされ、
肩に触れて動かない。
選択肢はない。
触れる。
反応がない。
付与可能の表示も、
購入の項目も出てこない。
拒否された感じもしない。
ただ、
最初から加工の対象ではない。
何度か、
角度を変えて触れる。
指先を変える。
時間を置く。
変わらない。
これだけは、
買っていない。
売られていなかった。
一覧に残った、
最後の言葉。
他の単語は、
理由があった。
便利だった。
必要だった。
安かった。
この言葉には、
どれも当てはまらない。
消せない。
増やせない。
軽くもならない。
レキシリーダを置く。
画面が暗くなる。
それでも、
内側には、
はっきり残っている。
加工できないから、
そのままだ。
そのままでいることが、
許されている。
ひとつだけ残った単語は、
光らない。
補正もない。
それなのに、
これまで付けた
どの効果よりも、
確かに、
ここにある。
コメント
1件
うわあ…このエピソード、すごく静かなのに胸の奥にずんって響きました。「加工できないから、そのままだ」って、なんだか切なくて、でもそれが許されてるっていう感覚が不思議と温かかったです🍂 買えなくて、消せなくて、増やせなくて、それでも確かにある単語。私、“取っておきたいけど触れられない言葉”ってすごく身に覚えがあって…ただそこにあるだけで意味になること、あるんだなって思いました🥀 柘榴とAIさんの描く“余白”の使い方、本当に好きです。