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焔垂は信愛たちを見渡し、小さく息をついた。
「それってもしかして──」
少し間を置き、言葉を続ける。
「『ホットリーディング』だったんじゃないっスか?」
「ホット?ごめん八乙女くん
もう一回言ってくれる?」
絹は聞き慣れない単語に首を傾げ思わず聞き返す。
「ホットリーディングです」
朝陽も興味を示す。
「なんですか?それ」
焔垂は淡々と説明を始めた。
「相手の事を事前に『下調べ』したうえで、いかにも
『今言い当てました』みたいに語る手法の事だよ」
更に焔垂は続ける。
「逆に下調べ無しに、相手の仕草とか
癖とかを観察して、まるであなたの事を
よく知っています風に語る手法もあってな」
焔垂は指を立てた。
「それは『コールドリーディング』って言うんだよ
まぁ、占い師とかがよく使う常套手段だな」
茜は感心したように目を丸くする。
「へぇ〜・・・初めて知った」
だが次の瞬間、何かに気づいたように表情を曇らせた。
「・・・・ん?ちょっと待って」
少し考え込みながら口を開く。
「下調べって・・・まさか」
絹も続ける。
「インチキって事?」
焔垂は静かに頷いた。
「その可能性はありますね」
そして話題を本筋へ戻す。
「それに霊貴冥孤と話すには 予約が
必要だったって言ってましたよね?」
絹はすぐに頷いた。
「ええ、そうよ」
「その予約が下調べする為の時間稼ぎだったんですよ」
さくらが腕を組む。
「でもさ?何でそう言い切れるの?」
焔垂は静かに問い返した。
「考えてもみろよ」
少し間を置いて続ける。
「絹さんの虐待は実はでっち上げだった
って知ってて、尚且つ生きてる人間は誰と誰だった?」
朝陽がすぐに答える。
「お母さんと・・叔母ですね」
「そうだよな」
焔垂は頷く。
「まぁ朝陽も薄々は気づいてたかもしれないけど
真実を知ってたのはその二人しか居ないよな?」
「そうですね」
「霊貴冥孤が絹さんの事を下調べするために
その叔母さんの所に行っていたとしてだ」
焔垂は皆の顔を見回した。
「叔母さんが素直に『妹の逮捕は私が警察にした
嘘通報が原因でした』なんて言うと思うか?」
信愛ははっとした表情になる。
「あ!確かにそうだよね!そんなの
罪を自白してるのと同じだもんね」
茜も納得したように頷く。
「確かに自分から言うわけないよね」
「なるほどね・・・」
さくらも腕をほどいた。
信愛は静かに結論を口にする。
「霊貴冥孤は絹さんの素性を調べたけど
逮捕された真実には辿り着けなかったんだ」
焔垂は静かに頷いた。
「ホットリーディングってのは事前情報が命なんだ
だから嘘情報を掴まされたら、その瞬間終わる」
絹は苦笑を浮かべる。
「でもホットリーディングだの
コールドリーディングだのって
八乙女くんって随分と物知りなのね」
焔垂は肩をすくめながら言った。
「ちょっと前に図書館で
心理学の本を読む機会があって
それに書いてあったんですよ」
茜は納得したように笑う。
「ああ、それでか」
続けて茶化すように口元を緩めた。
「本で得た知識を、あたかも自分の
知識みたいに語ってるだけね」
焔垂は苦笑する。
「アウトプットって言えよ」
「はいはい、プットプット、これで満足?」
「テキトー過ぎんだろ」
軽いやり取りに部室の空気が少し和らぐ。
「ホットリーディングならぬ焔垂リーディングだね」
さくらの一言に焔垂が反応する。
「上手い!座布団一枚!じゃねーんだよ!」
そんな中、朝陽が話を本題へ戻した。
「よ、ようは、相手がお母さんだったから
インチキがバレたって言う事になりますね」
焔垂は静かに頷く。
「まぁ、そういう事になるな」
そして一呼吸置いて続けた。
「ようは、相手が悪かったって事さ」
絹はどこか複雑そうに微笑む。
「確かにね・・・」
少し視線を落とし、自嘲気味に笑った。
「自分で言うのもなんだけど
私が歩んで来た人生って、ある意味特殊だからね」
コメント
1件
いやあ、今回も面白かったです!「ホットリーディング」「コールドリーディング」って概念、初めて知りました。焔垂くんの解説がすごくスッと入ってくるし、「予約が下調べの時間稼ぎだった」って推理はなるほどなあと。でも叔母さんが自白するわけないって気づいた時点で、霊貴冥孤のインチキが確定した流れ、爽快でした。さくらさんの「焔垂リーディング」には笑いました(笑)。絹さんの「私の人生って特殊だから」って最後の自嘲気味な笑顔、何か胸にきました。
#普通
野々さくら
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44
ありあ
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