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#鬱展開
Mist-404
1,165
mogyumogyuGemi
646
東京都・新都心
冷たい風が瓦礫の間を吹き抜ける。
ソウヤは静かに目を閉じていた。
ペインはイレイダと激しい攻防を繰り広げている。
ガガガガガン!!
拳と刀がぶつかるたび、火花が舞い、周囲のビルの窓ガラスが砕け散る。
ペインは笑う。
「いいねぇ!!」
「そうじゃなきゃ面白くねぇ!!」
イレイダは息一つ乱さず刀を振るう。
「黙って来い。」
しかし、その額には汗が滲み始めていた。
(速い……。)
(しかも、一撃一撃が重てぇ。)
人格転移
瓦礫の中。
ソウヤは小さく息を吐く。
「恐れるな。」
頭の奥で、静かな声が響く。
ソウヤはゆっくりと瞳を開いた。
Transmigratio(人格転移)
世界が静まる。
鼓動が落ち着く。
感情の波が消え去る。
立ち上がったソウヤは、先ほどまでとは別人のような眼差しで戦場を見渡した。
イレイダは横目でその姿を見て、小さく笑う。
「……来たな。」
乱入
ペインがイレイダへ拳を振り抜く。
「終わりだ!!」
その瞬間。
パシッ。
誰かが拳を掴んだ。
「……?」
ペインの笑みが止まる。
掴んでいたのはソウヤだった。
いや。
今そこにいるのは”レイ”だった。
「力任せだ。」
静かな声。
ペインは拳を引こうとする。
しかし――
動かない。
「なっ!?」
「俺の腕が……?」
レイは淡々と言う。
「全身の筋力を拳へ集中させている。」
「だから、掴まれた瞬間に体勢が固定される。」
「悪い癖だ。」
反撃
レイは手を離す。
そのまま半歩踏み込む。
最小限の動き。
右掌。
ドンッ!!
掌底がペインの胸へ命中する。
衝撃は一点へ集約される。
ズガァァァァン!!
ペインの身体が吹き飛び、十数階建てビルへ激突。
外壁が崩壊し、鉄骨がむき出しになる。
「ぐはっ……!」
初めてペインの口から苦しげな声が漏れた。
殺戮者の本気
瓦礫を押し退けながらペインが立ち上がる。
額から血が流れている。
しかし、その笑みは消えていない。
「最高じゃねぇか……。」
「やっと本気で殺し合える。」
strages(殺戮)
能力をさらに解放。
筋肉が軋み、全身から白い蒸気が立ち昇る。
地面が耐えきれず沈み始める。
タジは震えながら叫ぶ。
「身体能力がさらに上昇しています!」
「まだ上があるのか……!」
高速戦闘
ペインが消える。
レイも消える。
ドン!!
上空。
拳が交差する。
バギィィン!!
衝撃波で雲が裂ける。
二人は空中で何十発もの攻防を繰り返す。
一般人には何も見えない。
見えるのは空が何度も爆ぜる光だけ。
惣一が静かに呟く。
「空中戦……。」
イレイダは笑う。
「やっと見応えのある戦いになった。」
屋上
マランはその戦いを見つめていた。
(ペインが押されている……。)
信じられなかった。
あのペインが、技術だけで圧倒されている。
グランは静かに目を細める。
「やはり面白い。」
「ソウヤではない。」
「あの人格だ。」
マランは小さく呟く。
「……お前は、誰なんだ。」
最後の一撃
上空。
ペインが渾身の右拳を放つ。
「I’ll send it to the world in an instant!!」
レイは避けない。
拳が当たる寸前。
身体を半身だけずらす。
紙一重。
拳が空を切る。
「終わりだ。」
レイはペインの懐へ入り込む。
掌を腹部へ添える。
一瞬の静寂。
「終わりだ。」
圧縮された衝撃が体内へ流れ込む。
ペインは目を見開く。
「がぁぁぁぁぁ!!」
その身体は一直線に吹き飛び、東京湾へと落下していった。
巨大な水柱が空高く舞い上がる。
エピローグ
レイは静かに海を見つめる。
「……まだ終わらない。」
そう呟いた直後。
人格転移が解除される。
ソウヤは膝をついた。
「はぁ……。」
結衣が駆け寄る。
「ソウヤ!」
惣一は戦場を見渡す。
「ペインは……。」
その時だった。
東京湾の水面から、ゆっくりと一つの影が立ち上がる。
ペインだった。
血だらけになりながらも、笑っている。
「……まだだ。」
「こんなんじゃ終われねぇ。」
その笑みを見たイレイダは刀を握り直す。
「なるほど。」
「本当にしぶとい野郎だ。」
激闘は、なお続く――。
第60話 完
コメント
1件
うわっ、60話……もうこっちが息止めて読んじゃいましたよ。ソウヤじゃなくて“レイ”が急に前に出てきた瞬間、背筋が伸びる感じがしました。人格転移っていう仕掛け、これまでじわじわ効かせてたのがここでドンと開花した感じで、すごく鳥肌立ちましたね。ペインが初めて苦汁を♡♡♡シーン、長い積み重ねが報われるようで熱かったです。でも「まだ終わらない」の一言と、あのしぶとさ……次が待ち遠しいです!