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「どういう事なんですか、今の言葉は」
やっぱり美洋さんには通じていない。
だからこそここからは、注意深く話さなければならない。
「里のことついでに、お父さん関係をまとめておこうと思って」
僕はそう言いつつ、どう話を流そうかと頭の中で確認する。
時系列順にするか、それとも僕が気づいた順番にするか。
ちょっと考えて、僕が説明しやすい方で話す事にする。
「気づいたのは、さっきの話をまとめようと考えていた時なんだ。里を残すために変えようとして、抵抗があるのを覚悟して。その時に心配になるのは、何だろうって。
答えは簡単。やっぱり、自分の家族の安全だろうなと思う。術とかを使える人間が多い中だ。身の安全だけじゃない。精神的なものまで含めた安全。
そして、美洋さんの安全の為に考えた結果が多分、未亜さんの存在なんだ。未亜さんの役目は、美洋さんの身辺を守るだけじゃない。美洋さんの、思考と行動の自由の両方を守ること。里の狭さにとらわれず、もっと広い視野を持たせること。
そして、未亜さんや僕みたいに頭でっかちのこまっしゃくれたガキんちょに言う事を聞かせるなんて、ある程度頭のいい大人や元同類なら簡単だ。相手も対等の人間とみて、対等の契約なりお願いを持ちかければいい。
それは多分小学1年生の時、未亜さんをスカウトした時点でそういう話をしていたんだと思う。契約とお願い、どっちだった?」
「両方なのですよ」
未亜さんは、あっさりそう答えた。
「身辺警護の対価として、衣食住と私の望むまでの教育を受けさせてもらうのが契約。美洋の友達になって欲しいというのが、お願いだったのです」
「何で。何で、そんな事を……」
やっぱり、美洋さんは気づいていなかったらしい。
「更に言うと未亜さんの叔父さん一家が亡くなったのも、偶然じゃないかもしれない。美洋さんのお父さんと、別の側の誰かの意志があったのかもしれない。だからこそ、美洋さんのお父さんは用心をしたのかもしれない。その辺りは推測だから、実際はわからないけれどね」
「そこは立場上、ノーコメントと言っておくのです」
未亜さんは、律儀にそう返答する。
「ついでに言うと、未亜さんが美洋さんの友達をやっているのは、少なくとも今は強制ではなく自分の意志でのはず。ついでに言うと未亜さんが家族同然に暮らしていたのも、少なくとも途中からは嘘じゃない。実際、未亜さんと美洋さんのお父さんは、きっと仲が良かったのだろうし、色々話とかも合ったんじゃないかな。それこそ実の娘の美洋さんとは話さないような事まで話せる程度に」
「ちょっと待って下さい!」
美洋さんが、そう言って。
そして、付け加える。
「全部、状況として合っているんです。私から見た限り、その通りなんです。未亜と父が私以上に仲がいいのを含めて、その通りなんです。
でも何故悠さんは、そんな事がわかるんですか。未亜が私と一緒にいてくれるのは、父の為なんですか」
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