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なんで僕だけ……?
「届かない」
⚠
🎲
水白、水赤
白片思い表現有
白病み
nmmn
⚠
ステージの余韻がまだ残る楽屋の隅で、静かに座っていた。 豊洲PITの熱気が体に染みついたままなのに、心だけが冷え切っている。
『LAST EDEN』——俺の2ndソロワンマン。
大盛況だった。
満員の客席、鳴り止まない拍手、アンコールで叫んだ声。
全部、最高やった。
でも、終わった瞬間、何も残らへんかった。 一年前の僕は、こんな夜は絶対にいむくんと一緒にいた。
「しょーちゃん、今日も最高だったね! 僕、ほんとに辞めなくて良かった」
って、いむくんが無邪気に笑って、僕の肩に寄りかかってくる。
天才組のりうちゃんといむくんが並んでるだけで、周りが「可愛い〜」って騒ぐのも、微笑ましい日常やった。
双子みたいにくっついて、メンバーみんなが認めてくれてた。
でも、今は違う。 いむくんは僕から少しずつ離れて、りうちゃんのそばにいる時間が長くなった。
最初は
「忙しいんやろな」
って思ってた。
でも最近は、もうはっきり分かる。
いむくんの目は、僕じゃなくてりうちゃんの方を追ってる。
グループ内で恋愛はあかんて、みんな最初はそう言ってたのに。
まろちゃんやないちゃんが
「天才組、絶対付き合ってるってw」
って冗談めかして言うたびに、胸がずきっと痛む。
「初兎、最近なんか元気ない?」
ゆうくんだけが、時々優しく声をかけてくれる。
「まあ、なんかあったら、いつでも相談せえよ」
ゆうくんの言葉は優しい。
僕は笑って返すしかなかった。
「なんもあらへんよ、ゆうくん。僕、ただちょっと疲れてるだけ」
まろちゃんはないちゃんと、ゆうくんは他の誰かと、仲良しペアで楽しそうにしてる。
僕だけが、ぽつんって。
いむくんとの会話は
「うん」
「了解」
だけ。
目も合わせへん。 ある日の楽屋裏。
廊下で、りうちゃんといむくんの声が漏れてきた。
「しょーちゃんって、空気読めないとこあったよね」
いむくんの声。優しい、でも少し冷たい。
「りうちゃんといる方が、僕、ずっと楽しいよ。最近ほんとにそう思う……」
りうちゃんが小さく笑う。
「りうらもそう思うよ。しょーちゃん、昔はは面白かったけど……今はちょっと、りうらには合わないかな」
その言葉が、胸に突き刺さった。
僕は足音を立てないようにその場を離れて、誰もいない控え室に駆け込んだ。
ドアを閉めて、鍵をかけて。
声を殺して泣いた。
嗚咽が喉を焼く。
「なんで……僕だけ……」
元々、この活動辞めたいって思ってた。
辛いって、ずっと。
いむくんが居てくれたから続けられた。
「しょーちゃんが辞めるなら僕も辞める」
って真剣な眼差しを向けて言ってくれた。
でも今は
「なんで僕だけ……なんかした、?」
って、それだけが頭を回る。なんかしたなら謝るし、ずっと僕は頑張っていた。
新曲の歌詞に、 気づいてほしい このSOSを
って、精一杯思いを載せた。
でもみんな
「いい表現だね」
って言うだけ。
いむくんも
「僕、好きだよこの歌詞」
って、ただの感想みたいに。
らぶらびも、最初は僕の欲でいむくんと二人でやってた。
でも
「もっとみんなで楽しもう」
「みんなに認められたい」
「もっと頑張らんと」
って、メンバー巻き込んだ。
演じてる時は楽しい。
カメラ回ってる間は、いむくんが僕を見てくれる。
でも、終わったら即解散。
いむくんはすぐりうちゃんの方へ。
日に日に痩せた。
ソロワンマンが近づくたび、体重が落ちて、鏡の自分が怖くなった。 ライブ当日。 大成功だった。
客席は熱狂して、アンコールで僕は叫んだ。
「いむくんとちゅーできるくらい仲良いって自慢の曲、今日は特別に歌います!」
いむくんの曲をアレンジして、僕の想いを全部乗せた。
遠回しに、SOSを。 でも、終演後。
「初兎、お疲れ! マジで最高やったで!」
まろちゃんが肩叩く。
「俺もそう思うわ。初兎、ほんまよかった」
あにきも笑う。
いむくんは、にこっと微笑んだ。
「僕も、すごく良かったと思うよ」
それだけ。
りうちゃんは
「りうらも楽しかった」
って、すぐにいむくんと話し始める。 誰も、気づいてくれへん。
僕が必死で出したSOSを。
家に帰った。
一人。
電気もつけずに、ベッドに倒れ込んだ。
涙さえ、出えへんかった。
「あぁ……ほんまに、嫌われてしもたんやな」 天井を見つめて、ただ息を吐く。
明日も、ただ生きるしかない。