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俺がレイブンに指名をされたせいで晒し者になることが決定したため、要因である二人の元へ向かった。

俺の移動の最中は全員から注目を浴びた。

……みんなそんなに期待の眼差しを向けるのやめてくれないかな。

もしかしたらこれから同級生が死ぬのかもしれないのに。

俺がそう思いながら二人の近くに来た時なんか会話をしていた。

何の話してんだろう?

え?なんでレイブン笑顔なの?カインさんなんでニヤけてるの?


「すまないなアルト。よろしく頼む」

「そう言うなら指名しないでくれよ」


レイブンがそう言ってくるのに対して、俺は文句を言う。

しかし、その嫌味すら効かないのかレイブンは気にせずに話し続ける。


「準備は平気か?なら時間もだいぶ過ぎてしまっているし、早速始めようか」

「………」


レイブンはなんか始めておもちゃを買ってもらったようにウキウキとした表情をしながら言ってくる。

一瞬戸惑って黙ってしまった俺だが、身の危険を感じたため、レイブンに話しかける。


「……手加減してくれよ。あくまでこれは模擬戦だ。怪我したくない」

「それについては大丈夫だろう?」


え、今だろうって言った?聞き間違えかな?


「アルト君、イゴール君準備はできたかな?」

「私は大丈夫です」

「……平気です」


俺の疑問が払拭されないまま、カインさんがレイブンとの会話に割って入ってきた為、俺とレイブンは返事を返した。


「開始と終了の合図は私がする。聞こえたらすぐに終了するように。魔法は無属性魔法のみ。いいな?」

「はい」

「……はい」

「では両者構えて」


カインさんの説明を終え、開始準備のため構えるよう言う。

俺とレイブンはそれぞれ向かい合い構える。

レイブンは左足を前、右足を後ろにし剣を上段へと構える。

防御を捨て、全て攻撃一点集中の構えは炎の構えと呼ばれる、まさに主人公がするのに持ってこいの構え。

対して俺はいつも通りの八相の構えで対峙する。

……やべぇ、負ける気しかしねーよ。

チート野郎にまともにやって勝てるわけないじゃん。

ま、適当にやって負けよう。どうせ勝てっこないんだ。手加減するだろうし、死ぬことはないかな。

だが、その考えは当たらなかった。

俺が始めのレイブンとの会話で感じていた疑問は次のレイブンの一言で払拭された。


「ふぅ……本気で行く」

「え?」

「始め!」


レイブンの一言を聞いて俺は死を錯覚してしまった。

瞬間無意識的に俺は目に魔力を集め『見切り』、左足に魔力を込めて『部位強化』をそれぞれ発動させる。

俺はこの時に無意識に発動させた自分に心から褒めてあげたい。

発動させなきゃ死んでいた。


「ハ!!」


そう声を発しながらレイブンは俺目掛けて本気…ほんきで!上段から振り下ろしてきた。

身体強化も普通に使っていた。

俺は『見切り』でレイブンの接近を確認しながら『部位強化』で強化された左足で、左後ろへ五メートルほど移動する。


ドカン!!


もしもスタートラインにずっといたままだったら俺は間違いなく死んでいた。

『見切り』を使っていなかったら視認すら出来なかったかもしれない。

レイブンの本気の一撃は俺の元いた場所を中心に深さ80センチほど、広さは直径二メートルほどのクレーターを作った。

こいつ、殺す気か!!

俺は遠慮なしのレイブンに対して殺意を向ける。

そう思った瞬間にまた目に魔力を集めて『見切り』を発動、そして右足に魔力を集めて『部位強化』を発動。

右足がついた瞬間。

レイブンに本気で斬りかかる。


「この!!」

キン!

「ック!」


俺とレイブンの模擬剣から火花を散らしながらぶつかり合う。

予想はしていた。

俺の攻撃に対してレイブンは膝をつきながらではあるが、難なく受け切る。

まぁ、クレーターが5センチくらい深くなったけど……。

すると、まずいと思ってか、慌ててカインさんがやめをかけてくる。


「そこまでだ、両者そこまで!」


俺とレイブンはカインさんの終了合図が出た瞬間力を抜く。

そして、お互いに体勢を整え、剣を収めた瞬間怒りが蓄積されていた俺はレイブンに文句をいう。


「おい!てめぇ、俺を殺す気か!」

「……てめぇ?」


なんか驚いた顔をしてレイブンはそう反応する。

おい……なんだよその表情。人が一人死ぬところだったんだぞ!!

俺は苛立ちを増した。

俺だって言う時はいうぞ!!

立場なんて関係ない!


「なんだよその反応は!謝ったらどうだよクソイケメン野郎!」

「ぶ………ははははは!」


俺の罵声に対してレイブンは何故か爆笑した。

え?こいつもしかして罵倒されて喜んでるのか?

俺はドン引きした。


「すまない。少し驚いてしまってな。頼むからそのドン引きした反応はやめてくれ、私に罵倒されて喜ぶ趣味はないのでな」

「……じゃぁ、なんだよさっきの反応は?」

「それはだな……」


俺の反応を見たレイブンはすぐに否定する。

すぐに聞き返すもレイブンは何か考え込むようにしてワンテンポ時間を上け、話し続ける。


「驚いたんだよ」

「は?」

「本気の一撃を躱したのもそうだが、何よりこの私に膝をつかせ、そして最後の私に対する態度。あのようなことをできたものは今まで一人もいなかったんだ」


何言ってやがる?自意識過剰かよ。何様目線だよ。

俺がそう思うも、嬉しそうな表情をしながらレイブンは話を続ける。


「本当にこの学園に来てよかった。アルト……これからもお互い高め合おう!」


レイブンはそう言いながら握手を求めてくる。

俺二人の光景は青春の一ページのように見えているのだろう。

周囲を確認するとカインさんを確認すると何故かうんうんと頷きながら俺らのやりとりを見ていた。

てかカインさん、慌てて模擬戦止めたの忘れてません?

はぁ、と俺はため息をつきながらレイブンに向く。

返事は決まっている。

主人公からのライバル宣言。

まさに青春。

俺は笑顔でその申し出を断ろうとする。

たって、チート野郎とやり合ったところで死にに行くようなものだ。

俺はそう決めてレイブン断ろうとするがーー。


『レイブンと……これからも仲良くしてあげてください』


と頭の中で急にサリーの言葉が反復した。

昨日の一瞬見せた悲しい表情。

もしかしたら断ったら彼女を裏切ることになるかもしれない。


「よろしく頼む」


俺は気付いたらそう言ってレイブンと握手をしていた。

その後はレイブンからもう一度やろうとお願いされたが、俺の戦闘スタイルのことを話し、月に一回だけにしてくれとお願い。

レイブンに納得させてからこの一件を終了させた。





俺はサリーに弱いのだ。


俺モブじゃん……〜ギャルゲの世界に転生した俺は超不遇当て馬ヒロイン救済のため、奮闘する〜

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