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「えっと、その大規模な会議より、ソビエトを優先したんですか?」
この話を初めてから、何故だか妙な空気が漂っている。俺の返答が悪いというのか? さして変なことは言ってない筈だが……。
「さして重要なことでもないだろ。会議は終わったんだから、明日に向けて宿に戻ったらどうだ?」
「まあ、そうだね。わかった」
「書類を整理したら帰ります」
そのあと、二人は何かコソコソ話をしていた。
俺に関係ないものだと嬉しいが、話の流れを考えると、ソビエト関連の疑惑に関してだと推察できるだろう。
近々、どうにかして疑いを晴らさないといけなさそうだ。
仲良くなるならまだしも、逆をするのは上司頼みになるだろうが──
「ねぇ日本さ。ナチス帰ったから言うんだけどさ?」
「またその話か。さすがの私も耳にタコができそうだ」
日本にここまで言われるあたり検討がつくかもしれないけど、ボクは何十回と日本へこの話をしている。
仕方ない。二人のことは抜群に面白くて、けれどもあんまり人に言えない話だ。そもそも、よく会う話相手なんて、日本ぐらいなもんだし。
「え〜。日本も結構乗り気じゃん? で、本題なんだけど。フランスに接触してみない?」
「あぁ、確かに手紙の正当な宛先だったものな。でも、どうやって接触するんだ?」
「それはね、やろうと思えばできる。地続きの隣国とは、嫌でも繋がりが出来るからね」
「そうか。個人的に私も気になる。だから、よろしく頼むよ」
関係者のみが知っているルートを使えば、非公式の会食に漕ぎ着くのもそこまで難しくない。
ソビエトとの文通の内容を聞き出すことも、現実的な範囲だろう。話術になら自信があるし。
「今回のは、フランスとよく話していた話題なんだ。だからね、面白がって話してくれるはずだよ」